今日から使える!デンマーク流・主体性をのばす3つのフレーズ|こども教育総合研究所
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コロナ禍で目まぐるしく社会が変化し、正解が1つではない時代。
これからの社会を生きる子どもたちには「誰かに言われたから」ではなく、「自分で決めたから」と言える大人に成長してほしい、と願う保護者のかたも多いのではないでしょうか。
「自分で決めた」と思えることが自分の人生を自分らしく生きることになり、結果的に子どもたちの幸せにつながる、という意見もよく聞きます。

そのためには、まず周りで今何が起きているかをきちんと理解することが重要です。そして、「自分は何がしたいのか?」を考え、責任をもって行動する姿勢(主体性)が必要です。しかし、いきなり子どもに「自分の考えを持ちなさい」「自分で決めて行動しなさい」と言っても、子どもは困ってしまうでしょう。

それでは、子どもの主体性を伸ばしていくためにどのようなことが大切なのでしょうか。

今回は、家庭でできる主体性を伸ばすフレーズについて、筆者のデンマークでの留学経験をヒントにご紹介したいと思います。


「自分のことは自分で決める 」教育先進国デンマークの若者

教育先進国といわれ、国連の世界幸福度ランキングでも上位に名前が挙がる国、デンマーク。そんなデンマークの「フォルケホイスコーレ(注1)」と呼ばれる学校に、筆者は大学3年生のころ、半年間留学をしました。

そこで驚いたのはデンマークの若者の、「自分のことは自分で決める」「自分たちがより幸せに生きられる社会をつくる」という強い主体性でした。

(注1)フォルケホイスコーレとは?
デンマークを始めとする北欧諸国にある全寮制の学校。生徒と先生が共に暮らし・学ぶのが特徴で、様々な価値観に触れ、自分自身や将来について考えることができる北欧独自の機関。期間は通常数ヶ月から半年間ほど。現地では大学に入る前の若者が入学することが多く、ここ数年で日本からの社会人の留学生も増えています。

●フォルケホイスコーレについては『スクールの語源は「余暇」だった!デンマークに学ぶ”個性と自由を大切にする教育”』の記事も合わせてご覧ください。

「もっと幸せに生きたい!」だからこそ自分で決める、行動する

例えば、デンマークの学校には「政治経済」や「社会運動」を学ぶ科目がありました。ある日、その授業のなかで「デンマーク政治の透明性について」を学んだ学生たちは、政治家と企業の汚職について調べ、その現状に不満を持ちました。

そして、汚職の実態を多くの人に知ってもらおうと、SNS上や街頭で啓蒙活動を始めたのです。先生は生徒の活動を応援しましたが、指示はしていません。生徒が自ら考え、自分で決めて行動したのです。

彼らには「今の社会は自分たちにとって心地よくない。だから皆がより心地よく、幸せに生きられる社会に変えていくことが自分たちの責任なんだ。」という責任感がありました。

啓蒙活動での様子

日本でもこういった授業やワークショップは行われているかもしれません。しかし、実際に行動に移せる人は少ないのではないでしょうか。高校を卒業したばかりの子たちが、自ら取り組みたい課題を決めて行動する姿は衝撃的でした。

それではなぜ、彼らはこのように主体性を持ち、行動できるのでしょう。

そのヒントは彼らがどのように育ってきたかにあります。ここではデンマークで筆者が見たり、聞いたりした体験から3つをご紹介します。

①「どっちがいい?」と子ども自身に選ばせる

1つ目は、「幼い頃から子ども自身に選ばせる習慣がある」ということです。

例えば保育園では、子どもたちが朝食を食べる時、あらかじめ盛りつけられたプレートが1人ずつ配られるのではなく、自分で大きなお皿からパンやおかずを選ばせます。

そして、保育士がパンにジャムを塗る時、「りんごのジャムがいい?それともオレンジのジャムがいい?」と子どもに聞いてから塗ります。こうすることで、子どもが自分の意志で判断する訓練をしているのだそうです。

日本では、栄養バランスが整っているプレートを1人ずつ用意することが多いかもしれません。しかし、デンマークでは「子ども自身で選び、決定していくことが一人ひとりの成長にとって大切」だと考えられているそうです。

★家庭でできる!主体性を伸ばすフレーズ
朝食のジャムや飲み物など、「どっちがいい?」と子どもに選ばせてみるのはいかがでしょうか?
選ばせた時に「どうしてそっちを選んだの?」と理由を聞いてみてもいいでしょう。今までになかったような会話ができたり、子どもの性格に気づけるかもしれません。

②「どうして?」と行動の理由を聞いてみる

2つ目は、「どうして?」と行動の理由を聞いて対話することです。

デンマーク人の知り合いいわく、彼が幼いころに親の言うことを聞かなかったとしても、一方的に叱られたことはあまりなかったそうです。その代わりに両親は、親の言うことを聞かない理由を、彼本人に訊いてくれたのだそう。

例えば、彼が小学生のころに夜更かしをしていた時のこと。お母さんは「もう寝なさい!何時だと思ってるの!」と叱りつけるのではなく、「どうしてまだ起きてるの?」と訊いてくれたそう。

彼が「どうしても今日見たいテレビがあるんだ。」というと、「今日だけだったらいいわよ。睡眠は健康に大切だから、すぐ寝れるようにまずシャワーに入っておきなさい。」と許してくれました。それを聞いて、彼は喜んでシャワーに入ったそうです。自分の考えを受け止めてくれたことで、他の意見にも耳を傾けることができたのでしょう。

★家庭でできる!主体性を伸ばすフレーズ
子どもが親の言うことを聞かないとき、「どうして?」と聞いてみるのはいかがでしょうか。
対等に話し合うというと難しく聞こえるかもしれませんが、理由を聞いてみようと思うとハードルが少し下がりませんか?
常に気をつけることは難しいので、例えば「10回に1回は試してみる」など、ゆったり構えるのがいいかも知れません。

③「やってみなきゃわからないよ!」とチャレンジを応援する

3つ目は、子どものチャレンジを応援するということです。

筆者が留学中、学校の先生からよく聞いた言葉の1つに”You never know until you try!(やってみなきゃわからないよ!)”というフレーズがありました。

デンマーク人の先生に言葉の意味を聞くと、こう答えてくれました。「そもそも“挑戦”に失敗というものはないんだよ。挑戦した結果、上手くいかなかったりしても、どうしたら上手くいかないのかを新しく知ることができる。やってみてはじめて、自分の好き嫌いや得手不得手も知ることができるからね。」と。

自分の嫌いなものや不得意を見つける経験は、裏返して言えば好きなものや得意なことを見つけることでもあります。そうして自分自身を発見していく中で、子どもは人生で本当にやりたいことを自分で見つけていくのではないでしょうか。

★家庭でできる!主体性を伸ばすフレーズ
一見上手くいかないと思える子どものチャレンジも、「やってみなきゃわからないね」と一度応援してみるのはいかがでしょうか。あらゆる体験が子どもの成長や経験につながります。

最後に

今回は子どもの主体性を伸ばすフレーズとして、
① 「どっちがいい?」と子ども自身に選ばせる、
② 「どうして?」と行動の理由を聞いてみる、
③ 「やってみなきゃわからないよ!」とチャレンジを応援する
の3つをご紹介しました。

正解が1つではない時代だからこそ、「誰かに言われたから」ではなく、自分で選んだ「自分だけの答え」に価値があるのではないでしょうか?

とはいえ、毎日こんな風にやり取りするのは大変ですよね。親も人間ですし、デンマークの人たちもいつもこうではありません。10日に1度、いや、1か月に1回でも充分です!おうちの方も、実践しながらぜひ自分を褒めてあげてくださいね。


本記事の筆者:Masato@北欧
大学時代に「日本と正反対の価値観に触れたい」とデンマークに留学。卒業論文ではデンマークの民主主義を支える心の習慣について、インタビューをもとに研究・執筆した。
現在は日系メーカー勤務。北欧のさまざまなテーマについてイベント開催や記事執筆を行っている(記事はこちらhttps://note.com/masato_nordic)。「北欧の教育・学び リラ・トゥーレン」で出会った執筆メンバー。

<北欧の教育・学び リラ・トゥーレン>
リラ・トゥーレンは、一人ひとりの創造性と多様性をひきだして活かす北欧の教育をヒントに、これからの学びのあり方を対話しあう共創型情報プラットフォームです。北欧留学経験者/予定者、北欧在住者、学生、教育関連企業、出版社、テーマに関心をもつ人がコラボし、参加者と運営者の間を行き来しつつ新しい企画を生み出しています。本記事は、当プラットフォームを介して出会ったメンバー複数名で企画・執筆しています。

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執筆:Masato@北欧

Masato@北欧

大学時代に「日本と正反対の価値観に触れたい」とデンマークに留学。卒業論文ではデンマークの民主主義を支える心の習慣について、インタビューをもとに研究・執筆した。 現在は日系メーカー勤務。北欧のさまざまなテーマについてイベント開催や記事執筆を行っている(記事はこちらhttps://note.com/masato_nordic)。「北欧の教育・学び リラ・トゥーレン」で出会った執筆メンバー。 <北欧の教育・学び リラ・トゥーレン> リラ・トゥーレンは、一人ひとりの創造性と多様性をひきだして活かす北欧の教育をヒントに、これからの学びのあり方を対話しあう共創型情報プラットフォームです。北欧留学経験者/予定者、北欧在住者、学生、教育関連企業、出版社、テーマに関心をもつ人がコラボし、参加者と運営者の間を行き来しつつ新しい企画を生み出しています。本記事は、当プラットフォームを介して出会ったメンバー複数名で企画・執筆しています。

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