ヒューマンアカデミー こども教育総合研究所

シンガポールの教育制度と教育レベルについて

2020/04/23

これから数回に渡って、シンガポールの教育について、 日本にお住まいの皆さんにご紹介させていただきます。
今回のテーマは、シンガポールの教育制度と教育レベルについてです。日本の教育制度との違いや、 シンガポールの教育レベルをご紹介致します。


シンガポールの教育制度のご紹介

シンガポールの教育制度は、イギリスの植民地時代の影響を大きく受けています。そのため、各学年の分け方や呼称など、 イギリスの制度と同様なものが多くあります。但し、教育システム自体はシンガポール独自のシステムをとっています。 そのシステムの下、世界でも有数の高水準の教育を子どもたちに提供しています。それでは、シンガポールの教育制度を見ていきましょう!

まずは、下記の図をご覧ください。日本の教育制度と比べるとかなり複雑ですね。

出典: シンガポール教育省(MOE):Education System(https://www.moe.gov.sg/education/education-system)

それでは、シンガポールの教育制度をご説明していきます!

日本の小学校にあたるのが、”Primary”日本と同様、6年間の義務教育です。この、”Primary”修了にあたり、卒業試験 PSLE (Primary School Leaving Examination) が実施されます。PSLEは卒業判定のみならず、中学校の選択という進路に重要な意味を持っています。

”Primary”を卒業後、PSLEの判定に従い、それぞれの”Secondary”に通うことになります。”Secondary”は、日本でいう中学校。通常は4年から5年。ここまでがBasic educationと呼ばれています。日本の、義務教育の期間ですね。但し、シンガポールの義務教育は”Primary”まで。中学校は、義務教育ではありません。義務教育ではありませんが、殆どの学生が”Secondary”そして”Post Seondary” まで進学しますが、大学の進学率は日本ほど高くはありません。それは、大学入学にはかなり高いハードルがあるからです。

PSLE後の進路について

日本には、小学校で進学のための試験はありません。公立の中学校進学の場合は、住居エリアでだいたい学校が決まっています。でも、シンガポールでは中学校の時点で学力別に進路が決定するのです。PSLEの結果次第で、普通の中学校へ進んで大学進学の道を歩むのか、あるいは、技術系の学校へ行くのかが決まってしまいます。

公立校進学の道を選んだ場合、成績の良い子は、”Express”と呼ばれる4年制のコースへ進み、GCEのOレベルを受験。その後GCEのAレベル受験を経て、大学へと進みます。

※GCEのOレベルとは
The Singapore-Cambridge General Certificate of Education Ordinary Level (GCE O-Level) のことです。
Cambridge General Certificate of Educationの名前からもわかるように、イギリスの大学受験のための資格試験で、O(Ordinary)レベルを経て、A(Advance)レベルへと進みます。

ちなみに、2019年度のPSLEの結果はと言うと…
合格率は98.4%。 (1.6%の子どもたちが、中学へ進学できないということです。)

その内訳は、66.3%が、”Express” 21%が”Normal (Academic)” そして、11.2%が”Normal (Technical)”となっています。

”Secondary” を卒業後、大学進学を目指す生徒は大学準備のための”Post Secondery”という大学進学準備コース(通常2-3年ほど)に進みます。”Post Secondary”の中には、
高等専門学校、ジュニア・カレッジ等々の様々な種類の教育機関があります。日本と違い、シンガポールの教育制度は、かなり複雑だということが、おわかりいただけたかと思います。

また、進路が小学校卒業の時点でほぼ決まってしまうというのも、日本との大きな違いです。図でも示されているように、一応技術系の学校から大学へ進学というのも不可能ではないのすが、その為には複雑な進路と他のコースより長い年月が必要になります。

Normal (technical)へ振り分けられてしまった子どもたちは、やはり中学で卒業。上位の学校へ進学する率はとても低いようです。大学を目指すのであれば、小学校卒業の時点で受験するPSLEで良い成績を収める必要があります。そのため、シンガポールの子どもたちはみんな必死に勉強します。両親の期待も、半端ではありません。

シンガポールの学生の学力について

次に世界的な学力テストで、シンガポールの学生たちがどんな成績を残しているのかご紹介していきます。

TOEFL®:アジアにおいて、最高スコアのシンガポール

最初にご紹介するのは、世界的に有名な英語の学力判断テスト、TOEFL®の結果です。

TOEFL®(トーフル)=Test of English as a Foreign Languageとは、
アメリカのETS®=Educational Testing Serviceが主催している、英語圏の高等教育機関に入学を希望する学生の為の英語のテスト。外国語としての英語力を判定する際に用いられます。

アジア上位5カ国(2017年)
1位:シンガポール 97点
2位:インド    94点
3位:パキスタン  92点
4位:マレーシア  91点
5位:フィリピン  89点

日本ではフィリピン=英語ができる国という認識が広まっているようですが、シンガポールは全ての項目において1位です。全世界でも、8位と上位につけています。2位と3位のインドやパキスタンは元の英国統治領だったので、英語は公用語。そのため毎回、上位に登場しているのでしょうか?マレーシアも4位とかなり検討しています。

日本はと言いますと、なんとアジアの国の中でワースト3位!アフガニスタンと同じ71点でした。ちなみに最下位はラオスの59点です。

参考:ETS® TOEFL iBT® Score Data 2017(https://www.ets.org/s/toefl/pdf/94227_unlweb.pdf)

PISA:アジアでは中国についで、第二位

中華系、マレー系、インド系と多民族で構成されているシンガポールの公用語はマレー語、中国語、タミル語、そして英語と4つあり、シンガポールの人たちの多くは英語と他言語を話します。学校でも他言語の授業を除いて、ほぼ100%英語で授業が行われているので、もしかしたら読者の方の中には、英語の成績が良くて当たり前と思われるかもしれません。ですので、シンガポールの学生の学力をもっと理解していただくために、英語以外の結果を見てみましょう。

PISA(注1)2018〜2019の結果

上位5カ国
1位:中国(北京・上海・江蘇省・浙江省) 578.7点
2位:シンガポール 556.3点
3位:マカオ 542.3点
4位:香港 542.3点
5位:エストニア 530.7点
日本は前回から順位を下げて、6位となりました。

(注1)PISA(Programme for International Student Assessment)とは、OECD(経済協力開発機構)加盟国を中心に3年ごとに実施される15歳児の学習到達度調査の事。主に読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーなどを測定します。日本でよく行われている学力テストとは異なり、生きていくうえで必要な能力を調査することに比重がおかれており暗記ではなかなか解けない問題ばかりです。

IBDP:毎年、満点を叩き出すシンガポールの私立校

最後にIBDP (国際バカロレア: ディプロマ)の成績をご紹介します。IBDPとは、ジュネーブに本部を置く教育団体「国際バカロレア機構(IBO=International Baccalaureate Organization)が提供している3つのプログラムのうち、16歳から19歳の生徒を対象にした2年間のディプロマコースを指します。

コース修了時の卒業試験に合格すれば、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)の取得が可能になります。 2020年1月に行われた試験で、世界で満点を獲得した学生は69人。そのうち35人がシンガポールの学生です。シンガポールでは1544人の生徒が受験、平均点は34.48と世界平均の29.62を大きく上回っています。


最後に

シンガポールの学力のレベルの凄さ、ご理解いただけましたでしょうか?

学力って、生まれ持った素質よりも、それを伸ばす環境が実は結構大事なのではないかと、現在のシンガポールと日本を比較して感じます。確かに学力だけが全てではありませんが、教育に熱心な国は国自体が発展しているのも事実です。

あなたは、シンガポールと日本の教育事情を比較して、どんなことを感じましたか?


本記事の筆者:葭矢久子(よしや・ひさこ)

シンガポール教育移住の専門家。YHF PTE. LTD.代表。
https://sinbiz-support.com/lp/


2004年からシンガポールにて、日本人の為の教育移住と法人設立のトータルサポートを行っている。
日本の高まる移住需要とマスコミやネットから得られる情報とのギャップを感じ、シンガポールへの教育移住を希望する日本人へ、現地から正しい情報を発信する事に努めている。

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