―副所長訪問記―世界に誇る【未来の教室づくり】戸田市教育長の挑戦!|こども教育総合研究所
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―副所長訪問記―世界に誇る【未来の教室づくり】戸田市教育長の挑戦!

2019/10/09

9月某日、「未来の教室」をコンセプトに様々な教育改革を実施し、先進的な取り組みをされている戸田市教育委員会・教育長の戸ヶ﨑勤氏を訪問してきました。

戸田市は、『公立学校情報化ランキング(関東地区)』※1で小中学校ともに3位内に入るほどICT教育※2にいち早く取り組まれていることでも有名です。

教育長の戸ヶ﨑氏は、公教育のパイオニアとしても知られ、戸田市SEEPプログラム(STEAM、EdTech、EBPM、PBL)※3や「教室を科学する」をテーマに、教師のノウハウの言語化、可視化を推進されるなど、最新の教育改革の旗振り役としてご活躍されています。

2020年の新指導要領の施行など、公教育が大きな変革期を迎えている今、教育現場ではどのような課題があり、どのように改革を推し進めているのでしょうか。

戸田市教育委員会の先進的な教育改革について、お話を伺ってきました!

 

※1 『公立学校情報化ランキング』…日経BP社が全国の公立学校の情報化進展度を比較することを目的に調査。正式名『全国市区町村公立学校情報化ランキング』(日経BP社)、データは2016年度版。
※2 ICT教育…教育におけるICT(Information and Communication Technologyの略。情報通信技術)の活用のこと。子供たちの学習への興味・関心を高め、分かりやすい授業や子供たちの主体的・協働的な学び(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)を実現する上で効果的であり、確かな学力の育成に資するもの。―出典『平成26年度 文部科学省白書』(第11章 ICTの活用の推進)より抜粋。
※3 SEEPプログラム(STEAM、EdTech、EBPM、PBL)「STEAM」:Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEM教育」にArt(芸術)を加えて提唱された教育手法。
「EdTech」:教育におけるAI、ビッグデータ等の様々な新しいテクノロジーを活用したあらゆる取組みのこと。―出典『Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性』(文部科学省)より抜粋。
「EBPM」:Evidence-based Policy Makingの略。証拠に基づく政策立案のこと。政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。―出典『内閣府におけるEBPMへの取組』(内閣府サイト:https://www.cao.go.jp/others/kichou/ebpm/ebpm.html)より引用。
PBL:Project Based Learningの略。プロジェクト型チームで学習を進める教育方法のこと。従来教育の課題を克服する教育方法として、産学で注目されている。―出典『PBLに関するIT企業アンケート』(国立情報学研究所2011年)より抜粋。


埼玉県戸田市は、少子高齢化時代にありながら利便性や就学援助などが充実していることを背景に児童生徒が増加傾向にあり、多くの小中学校で教室が不足している地域だそうです。少し前までは、学級の機能不足や教師不足などが課題だったとのことでした。

そこで戸田市教育委員会は、当面する多くの課題克服に向けて、キャッチフレーズを「迅速、先見、創造」とし教育改革に乗り出しています。

まず、戸田市が目指す子ども像はこのようなものです。

 

「世界で活躍する人となるために」

  • 世界に関心を持ち、地球規模で未来を考えることができる子
  • 自分の力を他者や社会のために使いたいという意欲を持つ子
  • 多様性を理解し、他者と協働して問題の解決に取り組める子

 

ここからも分かるように、「世界」を意識した大きな教育視点であることが見て取れます。

“グローバルな視野を持つ子どもたちに育ってほしい”。戸ヶ﨑氏を始めとした戸田市教育委員会は、まず始めに生徒指導と学校経営の充実、校長のリーダーシップと同僚性強化、素人の目から見てもわかる授業改善などに取り組みました。

そこには「未来の社会は予測不可能」であることや「教育が社会をリードし地方創生の有効手段に」といった、まさに先見の明とも言えるコンセプトが組み込まれています。

戸ヶ﨑氏のお話を伺う様子

さらに特筆すべきは、戸田市教育委員会では、AI(人工知能)では代替できない能力と、AIを活用できる能力、つまり21世紀に必要な汎用的、非認知、それぞれのスキルを育成しているということ。

パソコンの普及はもちろんのこと、ネットワーク増強やサポート体制の強化なども進んで取り組まれています。

そのなかで産学官と連携しながら、独自の「PEERカリキュラム」を開発されています。

 

―PEERカリキュラムとは―

  • Programming:「プログラミング的思考」と呼ばれる論理的に考える力を育みます。
  • English:小中一貫の英語教育を推進し、英語以外での教科で英語を活用する「イマ―ジョン教育」を進めています。
  • Economic Education:「社会の仕組み」や「経済の働き」について身近な題材を通して体験的に学びます。
  • Reading skills:「汎用的な基礎的読解力」と学力との関係について分析し、効率的に向上させる指導法の開発などを進めています。
    これはまさに「Global教育」と「STEAM教育」が組み込まれた最新のカリキュラムです。

 

今回の訪問では、このような戸田市のEdTechやプログラミング教育の現状、未来へのビジョンについてお話を伺った後、同席いただいた大妻嵐山中学高等学校の真下峯子校長、Makeblock Japan株式会社のカントリーマネージャーの菊池裕史氏らとともに今後の可能性についても意見交換をさせていただきました。

未来の教育改革に向けて、それぞれの知見とアイデアがコラボレーションすることを想い、大変わくわくする貴重なミーティングとなりました。

(こども教育総合研究所 副所長・青木)

 

写真右から こども教育総合研究所 所長(ヒューマンアカデミー)・川上,副所長・青木,戸田市教育長・戸ヶ﨑勤氏,Makeblock Japan・菊池裕史氏,大妻嵐山中高校長・真下峯子氏, Makeblock Japan・高山亜弓氏,ヒューマンアカデミー・高橋

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