子どものケンカを減らせるかも?兄弟げんかの上手な反省の仕方|こども教育総合研究所
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ウィズコロナの生活にシフトしつつあるとは言え、まだまだ自宅で過ごすことが多い日々が続いています。家にいる時間が長くなってくると、「さっきまで仲良く遊んでいた子どもたちが、突然兄弟げんかを始めたので、あわてて仲裁に入った」といった経験も増えていますよね?時には激しさを増す子ども同士のケンカに、頭を抱えてしまう方も多いと思います。しかし、大人を悩ませる兄弟げんかも、子どもが社会性を身につけるための大事なトレーニングの1つです。今後もまだ「おうち時間」は増えるかと思います。それならばいっそこの機会に「兄弟げんかもポジティブ」にとらえて、兄弟げんかから我が子の「コミュニケーション力」を見直してみませんか?

ケンカは「コミュニケーションの失敗」

「おもちゃを貸してくれない」「ゲームのルールを破った」など、ささいなキッカケから子どもの喧嘩は始まります。大人であれば対話で解決できるような内容でも、相手に自分の考えをうまく伝えられず、感情を抑えられなくなることで、兄弟喧嘩へと発展してしまうのです。つまり、兄弟喧嘩は兄弟間のコミュニケーションがうまくできていないことが原因で起こっていると言えるのではないでしょうか?

どうして、兄弟同士のコミュニケーションがうまくいかないのでしょうか?そこには、年齢差による自己表現の仕方が関係しているようです。子どもの自己表現力は年齢を重ねるなかで鍛えられるものです。そのため、就学前の幼児や小学校1~2年生くらいだと、自己表現や感情表現が上手くできず、相手にきちんと考えを伝えたつもりでも、相手には理解されていない、ということがよくあります。子どもの「どうしてわかってくれないの」という不満がたまると、ケンカが始まってしまいます。

一方で、年齢を重ねた子どもは、誰にでも意見をはっきりと伝え、自分で考えて行動するようになります。小学校中学年~高学年の子どもたちは、自分の意見や態度が尊重されていないと感じたとき、考えが受け入れられるまで意地を張ってしまうこともあります。歳の離れた兄弟間のケンカでは、お互いに伝えきれない気持ちが原因で「ミスコミュニケーション」が発生してしまっているのです。

また、兄弟げんかは、自己表現の年齢差だけでなく、相手への安心や信頼感ゆえのコミュニケーション不足が原因で始まることもあります。兄弟で遊んだり、家族として過ごしている時間が長いと、一緒にいることに安心感や信頼感を持つようになります。その安心感が、兄弟同士の「わかってくれるだろう」「これくらいなら許してもらえるだろう」という気持ちの緩みを引き起こし、普段より言葉足らずな会話をしてしまいます。楽しそうに遊んでいた兄弟がいきなりケンカを始めてしまうのは、兄弟間のコミュニケーションで油断した結果なのかもしれません。

「大人が先生!」ケンカを活用したコミュニケーションレッスン

子どもの喧嘩を防ぐには、子ども同士で建設的な対話ができるようになることが必要です。兄弟げんかが起こったときは、様子を見ながら大人が間に入り、子どもと一緒に「ケンカが起きた原因」を考えてみましょう。

1.ケンカの現状を子どもに把握させる

子どものケンカには、互いに譲れない言い分があります。そして、子どもは互いに自分の言い分こそが正しいと思うため、相手の意見に耳を傾ける余裕がありません。言い分の食い違いは兄弟げんかがなかなか解決しない定番の理由です。

そこで、まずは大人が率先して互いの言い分を聞いてあげましょう。大人が聞き手となって相手を受け止める姿を見せることで、子どもも大人にならい、意地を張らずに聞く姿勢をとるようになります。ケンカの言い分を、当事者である子どもたちに理解させ、子どもに「相手の気持ちや考えを聞いて受けとめさせる」ことが、子どものコミュニケーション能力を育む一歩になります。

2.解決策を考える

子どもたちが互いの言い分を理解した後は、ケンカの発端となった言葉や態度の振り返りを促しましょう。「どうすれば怒らずに済んだのかな?」「どう言えば悲しい気持ちにならなかったかな?」など、子どもが答えやすい質問をしながら、ケンカをせずに困りごとを解決できる方法を一緒に考えます。自分の言い分だけでなく、相手の言い分も考慮しながら自分の行動を顧みることで、相手への思いやりがある話し方、聞き方を学ぶことにつながります。

子どもがケンカの振る舞いを反省しやすくするために、普段の生活で喧嘩がテーマの絵本や教育アニメにふれさせておくと、解決策を上手く引き出すために役立ちます。お話の中でキャラクターがケンカから仲直りする様子を鑑賞することで、子どもは、ケンカの疑似体験をしながら、仲直りの方法やケンカ解決のヒントを学べます。同じ状況の登場人物が、「どうしてケンカをしてしまったのか」「どんな気持ちになったのか」「どうやって仲直りしたのか」などを客観的に考えることで、子どもたちは、自分たちのケンカを素直に見直せるようなるかもしれません。

ここまで、大人として、兄弟げんかの間に入る形でのコミュニケーションレッスンを紹介してきましたが、「子どものケンカに大人がどこまで介入して良いのかわからない」と悩む方もいるのではないでしょうか。実は、子どもの自主性や自己解決力を育むためにも、大人は子どものケンカに過度な介入をしない方が良いとされています。今回お届けしている喧嘩でのコミュニケーションレッスンは、ケンカ中の子どもの責任追及をするのではなく、ケンカの自己解決を促すことが目的ですので、過度な介入ではありません。大人は、様子を見ながら子どもの間に入り、子どもたち自身でケンカの解決ができるように導いてあげましょう。


子どものケンカがはじまると、「厄介」「面倒」と感じる大人も多いかもしれません。しかし、ケンカはコミュニケーション能力アップのきっかけになるだけでなく、他人の意見に耳を傾ける「傾聴力」、自分と異なる考えも受け入れる「尊重性」、そしてお互いに仲良く遊ぶ「協調性」などの社会性を身につけるチャンスも秘めています。子どもにとってケンカは、いわば「学びのチャンス」です。ケンカを上手く活用して、子どもの成長を応援してみませんか?

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執筆:ヒューマンアカデミーこども教育総合研究所 編集部

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