植物のふしぎとユーカリのひみつ
じつは策略家?ユーカリの発芽のひみつ
そのタネはあることを経験すると発芽すると言われています。
さて、その「あること」とは、次のうちどれでしょう?
- 育てる人の温かな声かけ
- 洪水
- 火事
私は「サイエンス」のせかいのプリンセス「リカ」よ。
クイズの答えはわかったかしら?
育てる人の温かな声かけ…と言いたいところだけど、正解は
【3. 火事】
でした!
ここからは、先生に教えてもらいましょう。
通常の植物は火に弱く、山火事などが起こると焼け焦げてしまいます。
しかし、ユーカリは山火事で葉が焼け落ちることによって発芽が促されるといわれています。焼け野原に残されたユーカリは、土の栄養をたっぷりと吸い、ライバルがいない地でのびのびと成長するというわけです。
まぁ!おもしろい性質ね!
しかも、ユーカリの葉はテルペンという物質を放出しますが、実はこれは引火性。
葉から出された物質で山火事が起こりやすい状況をつくり、それが発芽のきっかけとなっています。
こうしてユーカリはオーストラリアの森林の4分の3を占めるほどに広がっていったのです。
なかなかの策略家だわ!
ちなみに、ユーカリのタネを家庭で発芽させるためにお湯に浸したりフライパンで炒ったりすることもあるそうです。
あたかも山火事が起きたように、錯覚させているのかもしれませんね。
なるほど~
オーストラリアには他にも山火事を利用した「バンクシア」という植物があります。
こちらの果実は松ぼっくりのような形で、とても硬いことが特徴にあげられます。
そして、この硬い実がはじけてタネを落とすためには山火事が必要になるのです。
山火事の熱によってはじけて地面に落ちたタネは、他の植物が焼けたあとの土地で成長します。
タネは勝手に歩いたり自分で栄養をとったりできない分、生き残るために様々な戦略をとっているのですね。
たくましい植物ね!
クロマトグラフィーとは?植物とも関係が?
2つ目の話題はある植物学者が見つけた手法についてです。
今から100年以上前、ロシアの植物学者ミハイル・ツウェット(ツヴェット)さんが「クロマトグラフィー」をいう技法を発表しました。
「クロマトグラフィー」とは混合物を分離させる手法の1つで、ツウェットさんは植物の色素を分離させようとしてこの方法を見つけたそうです。
水と紙(コーヒーフィルターのような濾紙)を使って、サインペンの色を分離させる「ペーパークロマトグラフィー」は理科実験の中でもよく耳にするかもしれません。
短冊状に切ったコーヒーフィルターに水性ペンで印をつけ、その下部を水につけると、水が紙にしみこんで、だんだんとペンの色が滲んできます。
すると、もとの色とは違った色が層のように現れます。
どんな仕組みなのかしら?
色は、さまざまな色素(分子)が混ざり合ってできています。
その色素の中で、水と相性の良いものは水の上昇と共に広がり、紙と相性の良い色素は紙の上にとどまろうとするのであまり広がりません。
その「差」が、不思議な色の層を作り出していたということです。
なるほど、おもしろい実験ね!
さて、4月から2024年度が始まり、新しい環境や人間関係をスタートさせる方もいるでしょう。
楽しいこともあれば、頭を悩ます問題にあたるかもしれません。
しかし、どんなに複雑に混ざり合った問題でも、クロマトグラフィーのように1つ1つを細かく分けていくと、解決の糸口が見つかることでしょう。
そして、その時々に応じて協力してくれる「優しくしみわたる水」や「しっかりと支えてくれる紙」である存在や方法は、きっと近くにありますよ。