日本科学未来館で開催の「SusHi Tech Tokyo 2024」に学ぶ、発明の“今“を知る大切さ|こども教育総合研究所
ヒューマンアカデミー こども教育総合研究所

先日開催された東京都が主催するイベント「SusHi Tech Tokyo 2024」をご存知でしょうか。

「SusHi Tech(スシテック)」とは、サステナブルとハイテックを掛け合わせた造語で、次世代技術の紹介やスタートアップ企業の支援などを目的にしたイベントのことです。

2024年4月27日(土)~5月26日(日)まで開催された「SusHi Tech Tokyo 2024」 では”『自然』と『便利』が融合する持続可能な都市を目指す”ことをテーマに、3つのプログラムが同時開催。持続可能な新しい価値を生み出すことを目的として、世界が直面する課題へ立ち向かうためのテクノロジーやアイデアが東京に集まりました。

その中のひとつであるショーケースプログラムでは、日本科学未来館をはじめ、全4会場で未来の東京を体験するプログラムが実施されました。

そこで今回こども総研では、日本科学未来館で開催された企画展を取材してきました。


日本科学未来館で、未来を「発見」し「創造」する展示にふれる

日本科学未来館のショーケースプログラムでは

「想像力を刺激するテクノロジーや、サステナブルな取り組みなど、東京の暮らしを変える多様な発明に出会えます。アイデアを形にするワークショップなどで、子どもたちのひらめくチカラを育みます。1階企画展示ゾーンで未来の姿を「発見」、7階のワークショップ会場で未来を「創造」する楽しさを感じてみませんか。」

とあり、子どもだけでなく大人も楽しめる展示がありそうな予感。

鉄腕アトム(©手塚プロダクション)のアニメーションが出迎えてくれ、子どもたちに“未来をつくるワクワク感“を直感的に教えてくれます。

アニメーションが終わると、いよいよ会場へ。

会場1階の企画展示ゾーンでは、ロボットやドローンの展示を始めとして、体験型の展示がたくさんあります。
未来になぜその発明が必要なのかという答えを、子どもたち自身が発見することができるフロアを目指して企画したとのことです。

「みらいのどうぐ」「みらいのあそび」「みらいのしょく」の3ゾーンに分かれており、平日の午前中にもかかわらず大勢の親子でにぎわっていました。

なかでも列をなしている一角を発見。なにやら子どもたちがドローンの操縦に勤しんでいます。
ドローンを動かす楽しさや難しさを体感しながら、島を目指して荷物をとどけるゲーム「ドローンデリバリー」の体験スペースです。

実はドローンによる物流には、配送コストの削減や交通渋滞の改善など、さまざまな物流課題を解決する可能性があると期待されています。
実際に、離島に薬品を届ける取り組みなどが進んでいるのだそうです。

子どもたちは操縦に苦戦しながらも、なんとかデリバリー成功。ドローンは今後も市場拡大が予想されており、ドローン操縦士や開発者がますます増えてくるかもしれません。

ひょっとしたらドローンデリバリーが当たり前になる未来もそう遠くはないのかも…と未来の物流に想いを馳せていると、展示を熱心に見ている女の子が目に留まりました。お母さまにお話を伺ってみます。

「お兄ちゃんが週末に観にきて、面白かったと聞いて、この子(妹)も絶対行きたい!と言うので連れてきました。昔ロボット教室に通っていて、ものづくりやロボットが好きなので興味があるみたいです。最先端の技術は学びにも役立つと思いますし、楽しそうにしているので来てよかったです。」

こちらのお母さまは、アフタースクールを経営されているとのことで「好きなことに触れさせてあげる機会を大切にしている」とのこと。

女の子にも、どれが一番楽しかった?と聞いてみると「ドローンが楽しかったけど、操縦が難しかったです。着陸させるためには細かい調整が必要なんだなと、操縦してみて実感しました。もっと上達できたらいいな。」と、目をキラキラと輝かせて答えてくれました。

ロボットの昔と今、そして「これから」を楽しく学べるプレゼンテーション

そして、何やら騒がしくなった方を見ると、ロボットの漫才が始まっています。

「ロボットプレゼンテーション」では、ロボットの歴史や何に役立つのかを漫才形式でプレゼンテーションしながら教えてくれました。

ロボットの語源は、チェコ語で“はたらくこと“を意味する「ロボタ」から来ているといった、子どもにも分かるエピソードから、最新のロボット技術についてなどをおよそ5分のプレゼンに凝縮して紹介。子どもたちが大人になる2050年の暮らしのなかで、ロボットがどんな風に活躍しているか、人間とロボットの関わりについても知ることができます。

先日取材した尾形先生の記事でもご紹介した、人型のヒューマノイドロボットも紹介されていました。
尾形先生の記事もぜひチェックしてみてください。『尾形哲也先生が期待する「ロボット製作から世界を広げていく方法』

他にも、最先端のカメラで全身をスキャンして、自分の3Dモデルを作ることができる「3D未来カメラ」や実用化に向けて開発が進む「空飛ぶクルマ」の体験ブース、味覚をコントロールできる最新テクノロジーを展示する「ミカクミライクイズ」など楽しい体験や展示が盛りだくさん。2050年には「宇宙エレベーター」の実現を目指しているという紹介もありました。

週末には、中高生対象の「みらい発明起業講座」などのワークショップも開催されており、さらに盛り上がっていたとのことでした。

こちらの講座では、

「会社を作る、起業するって難しいこと?選ばれし特別な人だけがすること?そんなことはありません。 2つの単語を組み合わせて言葉を作るように、既存の要素の新しい組み合わせによりアイデアを生み出すことができます。そしてアイデアというは誰の頭の中にもあるものです。講師は、実際に会社を作った人や、新しいビジネスを生み出した人たち。アイデアを出して形にすることの面白さや、発明の楽しさを一緒に体験しましょう。一歩先のステキな未来を創るのはあなたです。」

とあり、早くからアントレプレナーシップ(起業家/企業家 精神)を育てる場を提供することも、未来の技術発展に必要な要素であることが分かります。

また、展示会場を出ると「発明したい道具を書いてみよう」のコーナーも設置。子どもたちが一生懸命、書いている姿が印象的でした。


いま必要とされている、社会課題を解決する力。それは身近なところで感じている課題を「どうやったら解決できるかな?」と考えるだけでも、大きな発明につながる可能性があり、未来を変える力になっていくのかもしれません。

まずは最新の技術や物の仕組みを知ることで、世界の解像度があがり、生み出す原動力にぐっと近付くことができるのではないでしょうか。

「SusHi Tech Tokyo 2024」に出展していた、ツバメインダストリ社の記事も合わせてご覧ください。

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執筆:ヒューマンアカデミーこども教育総合研究所 編集部

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