ICT教育とは?ICT活用のメリットと、具体的な取り組みを紹介|こども教育総合研究所
ヒューマンアカデミー こども教育総合研究所

“学校のパソコンは「1人に1台」”“教育現場のICT化を加速”というニュースを目にする機会も少なくないですが、「ICT教育」とは何かを説明できる方は多くないのではないでしょうか?

そこで今回は、「ICT教育」とは何か?また、なぜ注目されていて、全国でどのような取り組みがされているのかをご紹介します!

ICT教育とは?

ICTとは「Information and Communication Technology」の頭文字をとった略語です。つまり「ICT教育」とは、IT技術を使ってコミュニケーションをとっていく教育方針や取り組みのことを指します。このような説明でまとめると、少し難しく感じられますが、

  • 動画を使って授業を行う
  • 紙の教科書の代わりに、パソコンやタブレットを使う
  • 生徒がタブレットで作成した資料を、クラス全員の端末に共有して発表を行う

といった、ICTを活用した学びや教育活動を「ICT教育」といいます。


ICT教育のメリットは?

「タブレットよりも紙の教科書の方がいい」

「インターネットで資料が見つかれば、全員分印刷して配布すればいい」

「今のままで不便は感じてないし、新しくICT教育をやる必要はないのでは?」

などICT活用に対して消極的な考え方もあるようですが、ICT教育にはさまざまなメリットがあると考えられています。

メリット1「わかりやすい授業ができる」

これまでの授業では、教師の説明や黒板の板書、そして教科書を使って、生徒たちは授業を受けていました。しかし、ICTを活用することで、テキストや写真だけでなく、映像や音楽なども授業に利用できるようになります。つまり、生徒たちが授業中に受け取る情報量が多くなることで、より「理解しやすい授業」を実施できるようになるのです。

メリット2「効率的な授業ができる」

黒板に説明図などを書くのは、教育にとっても手間のかかる作業です。特に複雑な図形などは、正確さを求められることもあり、作成に時間がかかります。そういった時に、電子黒板などのICT機器を利用することで、このような教師側の手間も軽減でき、手書きよりも正確で分かりやすい板書を、より簡単に準備できます。

またタブレットなどを使った授業であれば、生徒たちの“板書をノートに書き写す作業”の必要がなくなります。こうすることで、板書の写し間違いがなくなり、書き写す時間を削減することで授業時間を最大限有効に活用できます。

メリット3「ICT機器を活用する力や、情報処理能力が向上する」

パソコンやタブレットなどのICT機器は、企業でも日常的に使用されているため、早いうちに親しみ、基本的な操作方法を覚えておくことが必要です。また、授業で理解できなかったことや、自分の知らないことをインターネットで調べる経験を通して、自分で調べる姿勢が身につき、知的好奇心とともに情報処理能力がアップすることも期待できます。


なぜ政府はICT化を推進するのか?

このように、メリットが多くある「ICT教育」は、政府によって整備が進められている取り組みの一つでもあります。文部科学省が中心になって、小学校から大学まで、全国の学校でICT導入が進められています。では、国はなぜここまで早急にICT教育化を推し進めているのでしょうか?それは、ICT教育が、学力向上に高い効果があると明らかになっているからです。

ICT活用による効果については、さまざまな調査研究がされていますが、そういった調査の中でICT教育が学力アップに有効であることがわかってきたのです。例えば、文部科学省の調査研究によると、ICTを活用した授業が、児童生徒の「意欲を高めること」「理解を高めること」「思考を深めたり広げたりすること」「表現や技能を高めること」に効果的だと、約8割以上の教員が評価※していることがわかりました。また、ICT活用によって「児童が集中して取り組めるようになった」「生徒が楽しく学習出来るようになる」などの効果もみられました。

※文部科学省『学びのイノベーション事業 実証研究報告書』より

ICT活用に取り組んでいる学校の成果は?

ICT教育にいち早く取り組み始めた学校のなかには、顕著な効果が出ているところもあります。

例えば、三重県松阪市の中学校では、2011年から1人1台タブレットを導入し、日常的にICTを活用しています。日常的なICT活用の成果として、この中学校では全国学力・学習状況調査のスコアが向上しました。また、タブレットを使いこなすことで、生徒の情報活用能力が向上していることも報告されています。

また、東京都福生市の小学校では、3年生全員に算数のクラウド型ドリルを搭載したタブレットを貸し出し、「小4ビハインド」と呼ばれる小学4年生での算数のつまずきを防止するプログロムを実施しています。タブレットの算数ドリルでは、児童の学習状況や理解状況をデータ化し、子どもの理解度に合った問題を自動的に出題するため、つまずくことなく学習を進めることができます。この取り組みによって学校職員からも「宿題配布や採点にかかる労力が軽減できた」「児童に合った指導計画が立てられるようになった」などの反響が得られたそうです。

AIなどの技術革新が進む新しい時代に対応するため、学校教育にも大きな変化が訪れています。「自分が受けてきた教育とは違うから…」と尻込みしてしまうのではなく、今だからこそできる学び方を、お子さまと楽しんでみても良いかもしれません。

ヒューマンアカデミーこども教育総合研究所では、実際の学校での取り組みも取材しています。先進的な取り組みをあわせてチェックしてみてください。

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執筆:ヒューマンアカデミーこども教育総合研究所 編集部

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