実は難しくない!家庭で実践できる「STEAM教育」
2019/11/25
教育に関わるキーワードとして、近年「STEAM教育」が注目を浴びています。「STEAM教育」とはどういった教育で、なぜ注目度が上がっているのでしょうか?また、今日からご家庭でも楽しめる「STEAM教育」的な遊び3選もご紹介します。
STEAM教育とは?
「STEAM教育」とは、「Science(サイエンス)」「Technology(テクロノジー)」「Engineering(エンジニアリング)」「Art(アート)」「Mathematics(マセマティックス)」のそれぞれの頭文字を取って、科学・技術・工学・芸術・数学の教育分野を総合的に表した言葉です。
子どものうちから、この5部門を総合的に学び、「自分が持つ知識をもとに、自分で学び、自分で理解する力を持つ子どもに」「グローバル社会やAI時代に適応できる、世界で通用する価値の高い人材を育成していこう」という日本だけでなく、世界規模で活発化している教育方針のひとつです。
この5分野を総合的に学ぶことで、どういったことが可能になるのでしょうか?農業を例にとって考えてみましょう。
日本は超高齢社会にあり、働き手が減少している問題を抱えています。そういった状況のなかで、伝統的な農業では生産性が向上せず、方針の転換を迫られたとき、どのような知識が必要になるのでしょうか?新しい機械を導入すれば、短期的には改善するかもしれませんが、生産性の向上は限定的になるでしょう。課題解決に根本的に取り組むのであれば、農学や生物学、地学の知識を使って、その地域の気候条件や作物の状況を分析し、生産性向上のためにはどこに課題があるのかを特定する必要があります。また、その課題を解決するための最新技術に関する知識も欠かせません。課題解決までのシミュレーションには数学的な思考が、それらをどう運用するのには工学的な考え方が役に立ちます。
つまり、理系文系問わず、今後はどのような職業に就くにしても、自分で考えて解決策を導き出す「論理的な思考」が求められるため、その土台となる知識を総合的に学ぶ必要があるのです。
「STEAM教育」に関する取り組みと一環として、小学校や中学校で教科横断型の取り組みが実施されていますが、お子さまの学びをより深くするために、小学校入学前や学校以外でも「科学への関心」や「論理的思考」を鍛えられる環境を作ってみてはいかがでしょうか?そこで、ここではお子さまの思考力を伸ばす遊びをご紹介いたします。
知識量を増やす「仲間ことばゲーム」
横断的に知識を活用するためには、まず知識を持っている必要があります。つまり、知っている単語や考え方を増やしてあげることが重要です。
お子さまの語彙力や知識量を増やしたいときにおすすめなのが「仲間ことばゲーム」です。
ゲームルールは簡単です。「お題」に沿ってそれぞれが思いつく言葉を言い合い、思いつく言葉がなくなり、回答することができなくなった人が負けです。(例:お題が「野菜」の場合は、「にんじん」「たまねぎ」「ピーマン」「メロン」…)
語彙力を伸ばすだけでなく、「野菜の共通点は何だろう?」「なぜメロンは野菜なんだろう?」とそれぞれの関連性を考えさせることができます。テーマの設定の仕方によっては、難易度の調整ができるため、小さい幼児から小学校高学年、大人まで楽しめるゲームです。
「STEAM教育」の「S」は科学を指しますが、現在の教育で「理科」に初めて触れるのは小学3年生というのは広く知られています。「社会性が備わり、知的好奇心から知りたい、学びたい気持ちが強くなってくる時期に、専門的な知識が得られるように」という狙いから、小学3年生のタイミングで生活科が理科と社会に分けられます。専門的になることで、覚えなければいけないことが多くなってくるため、暗記をする勉強方法になりがちで、面白みを感じられずに苦手意識を持ってしまう可能性もあります。覚えるべき単語が急増することによる反応なので、そういった事態を防ぐためにも、早いうちから様々な単語に触れる機会を作っていきたいですね。
筋道立った話し方が鍛えられる「ショートストーリー作り」
ロジカルシンキング、つまり論理的思考力とは、「筋道を立てて考える力」ことです。例えば、「主張と根拠」「結論と前提」「抽象と具体」にある筋道を立てて考える力も、今後求められる重要なスキルのひとつです。
学校でも、論理的思考を身に着けるためのカリキュラムとして、プログラミング教育を通じた授業作りが進んでいますし、最近ではロジカルシンキングが鍛えられると「ロボット教室」「プログラミング教室」が人気を集めています。とはいえ、論理的な思考を鍛えることができるのは、プログラミングやロボット作りだけではありません。思考力アップのための遊びとして「ショートストーリー作り」を取り入れてみてはいかがでしょうか?
まずは、お子さまが思いつくまま話をさせます。話始めが難しいようであれば、「桃太郎は鬼ヶ島のあとどこに行ったのかな?」「白雪姫の小人たちはどんなお仕事をしているのかな?」といったきっかけを作っても良いかもしれません。お子さまが考えたお話に対して「どうしてそうなったの?」「次はどんなことをするのかな?」などの助け舟を出しながら一緒にお話を展開していくことで、物事の「因果関係」や「主張/根拠」「抽象化/具体化」のトレーニングをすることができます。
「考える」ということは、想像以上にエネルギーを消費するため、まずは1分程度の短い物語から、お子さまと一緒に作っていきませんか?
数のセンスを鍛えるトランプを使った「足して10にするゲーム」
STEAM教育では、数学的思考も重要視されますが、小学校の時点で算数に苦手意識を持ってしまうお子さまが少なくありません。幼少期に数字に触れてきた機会が多い子ほど、算数に強くなる傾向があるため、積極的に数字に親しむ習慣を作っていきたいですね。そういった時に活用でき、もっとも身近なゲームが「トランプ」ではないでしょうか。トランプ遊びの中でも今回は、一般的なババ抜きをアレンジした「足して10にするゲーム」をご紹介します。
通常ババ抜きのゲームでは、同じ数字のカードを2枚ペアで捨てることができますが、このゲームでは足して10になる数字のペアで行います。ゲームをする際は、絵札と10を除いた1~9のカードで行い、最後までカードが残ってしまった人が負けです。
足し算の考え方だけでなく、1~9の数字が、それぞれどういった組み合わせで10になるかを理解させることができ、数字に対するセンスを磨くことができます。慣れてきたら「足して14」など数字を変えてみる、「掛け合わせて15以上」など掛け算や割り算にしてみる、といったアレンジも出来ます。
小学校や中学校でも、STEAM教育を通してロジカル思考を伸ばす授業は行いますが、そこでお子さまがつまずかないためにも、就学前や家庭での基礎作りが大切です。テレビやゲーム機で時間を使うことも良いのですが、これからは家庭でもお子さまの思考力を鍛える遊びを取り入れてみませんか?