科学教室
「人は、興味あること好きなことから育まれる」
〜本物に触れ、ほめられ共感されることが自信につながる〜
春日井駅前教室(愛知県)
岸 由巨子 さま
ご経歴について教えてください

大学で心理学の専攻をしていました。卒業後、商社に入社しましたが「自分の人生、やりたいことに生きたい」という思いが湧きました。そして大学院に進むことを決め、生理心理学、精神生理学分野を学び、認知機能の研究に没頭しました。

子どもは「遊び」を通じて機能面を発達させ、興味があること(例えば 科学)を間にはさむことで、“自己表現するきっかけとなる”ということを発見しました。また、日頃コミュニケーションが得意でない子どもたちが「好きなこと」で繋がり、人前で「興味のある科学」を堂々と論じている様子を目にしてきました。自分自身の小学校・中学校時代を振り返ると、私の周りには「学校に行けていない子や、学校生活で困難さを抱えている子ども」に自然と出会ってきたことが数多くありました。実は、私自身もあまり人前に出ることが得意ではなく、小学校3年生の時の担任の先生から「あなたは縦笛が上手だから、お友達に教えてあげて」とほめられたことが、「転機」となりました。その時「私は、誰かの役に立つことができる!」と気づかされたことに、心底喜びを感じたことを鮮明に覚えています。この経験が、今の福祉事業の礎となっており、「誰かのために自分には何ができるのか」が、自らの“生きる指針”となっています。そして、人は何かしら興味をもったことをとことん伸ばせば、自分らしさで関わりをもつことができる。子どもの特性は十人十色で、にじいろ ACADEMY には12種類の環境が用意される中の一つである、「MIRAIKU 自然科学」を通して何かしら子どもたちの“拓くきっかけ”になればいいなと思い、ヒューマンアカデミーのコンテンツに興味をもちました。

子ども向けの教室をするにあたり、ご自身の強みとなっていると感じることはありますか?

子どもの脳機能の発達に応じた適切な環境設定、子どもが本来備え持つ「可能性の芽に目を向ける」という視点が大切であることを、子どもたちから教えてもらったかなと思います。長い目で子どもが成長していく過程を見るなかで、どの子にも等しく「何か一つ興味を持つことから自信に繋げられるもの」がある。その強みを活かす “環境と人”がいれば、社会に出て「自分らしく」貢献できる大人になれると確信しています。

こちらの教室の様子を教えてください

現在は、2、3歳〜18歳までのお子さん達のための社会自立をサポートする福祉サービスをしており、児童・生徒数は400名近くのお子さんがお通い頂いております。放課後、幼稚園・小学校・中学校が終わってから児童や生徒が来る「個別的サポートが受けられる療育施設」です。また日中学校に何らかの事情で行くことのできないお子さんの居場所、フリースクールのような場所で子ども達の教育・療育・自立支援を行なっています。また、子どもたちが「自分らしく、等しく学ぶことを保証する場」として学校と連携しながら、誰一人取りこぼすことのなきよう社会と関わり続けられる場を提供しています。その活動の一つの中に、サイエンスゲーツは地域交流の教育の機会の 1つとして、障がいに関係のないお子様も含め18名通っています。

サイエンスゲーツの授業は、自然科学のドクターや、高校理科の教員免許をもった先生、心理・幼児教育の専門職と協働しながら指導しています。大変嬉しかったことは、普段学校の中では落ち着いて過ごせていない子が、ヒューマンアカデミーさんの授業には集中して取り組み、友達と協力し合う姿が見られていることです。また、子ども自身が知っている知識や意見を堂々と人前で発表したり、人の話を聞けるようになったこと。そんな“自分の好きなことを思いっきり発揮できるお子さんの様子”を見られた親御さんも大変喜んでおられます。なかなか学校では評価を受けられない子たちが、科学を通じて“その子らしさ・良きところに評価をもらえていることが実感できています。

私は本物思考です。サイエンスゲーツは子どもの興味を引くための「本物仕掛け」のある教材であると思います。それは、子どもが容易に想像でき、理解を深めるための動画教材が入っていること。また、私たちが更に理解を深めるためにアレンジしている部分として、毎月1回土曜日に“毎月のテーマに即した体感型イベント”を行なっています。例えば「電気」の会であれば、「電気の博物館に連れて行ったり、電気自動車の模型を作ったり」といった感じですね。サイエンスゲーツのおかげで、子ども達に自然界の恵みと豊かさ、醍醐味を上手に伝えることができています。

サイエンスゲーツ導入にあたり期待していた事は何ですか?

以前から「科学実験」は、子どもの好奇心を刺激するツールとして効果的。かつ自らで学ぶ画期的ツールであることに気づいていました。ただ様々な準備、授業の組み立てを行い、カリキュラムとして提供するためには、大変な労力がかかるが故に断念せざるえなかった。そんななか、色々な実験教室を見て、ヒューマンさんが1番良質なコンテンツであると思った。それは「やはり子どもたちに対しても、授業をする側に対してもわかりやすく指導方法や教材の準備が細やかにされている」と感じたから。あとは、初級・中級・上級と段階的に学びに継続性があることですね。

子どもたちには本物志向です。“本物を見せていく”という信念が、私にはあります。今はたくさんの教育コンテンツがありますが、子どもたちは豊かで繊細なセンサーがあり、実際に見て触って色々なことを考えられる「仕組み」が、ヒューマンアカデミーさんにはあることが決め手となりました。一見危なそうなことでも、“安全面やコスト面も兼ね備え”身近なもので安心して体験させることができる。子ども視点でよく練りあげられ、作り上げられた教材であると思います。

生徒数や教室の様子を教えてください。

2021年の開講時は8名でスタート。それ以降は定期的に体験会をしたり、私たちの“公式 LINE”で所内の利用者様に対して、日頃の実験活動の様子等を公開してきました。2022年11月時点で在籍18名。クラスは週に2回、月曜と水曜に教室を開いています。プラスαとして先ほどお伝えしました、「体感型授業」として学校の休日にオリジナルの授業を開いています。今は開講1年目なので、初級の子がそのまま中級に上がっているという状況です。

教室としての今後の目標や展望を教えてください

「未来の科学者を育てたい」という気持ちがありますね。科学を通して、子どもたちと継続的に関わり続けることができたり、理科を単なる学校の教科としてではなく、自分の強みや自信につなげる“きっかけ”として欲しい。将来この科学から得られた知識や経験を活かせるような研究職といった分野に「自信を持って進んでくれたらいいな……」と願っています。

「自分の好きなことが仕事になる」というのは、本当に幸せなことだと思います。将来子どもが“自分の興味のあること、得意分野”を活かして「誰かのために役に立つ、貢献ができることが、“一番の幸せ”なんじゃないか」と思って、日々様々な経験の種まきをしているところです。私たちは理科分野だけではなく、社会・ものづくり・ドローンやプログラミングといった様々な療育支援コンテンツを用意しています。子ども時代に、夢中になれることや好きなことに打ち込む時を通して「未来の自分」に向かえるきっかけが作れていくこと、誰かから「こんなことを知っているんだね!」って認められるような成功体験の積み重ねを大切にしています。

「自分が夢中になれることを『誰かに共感』してもらえる」ことは、子どもの成長過程において大事なこと! 小さいうちにそのような経験があると、何らかの“心のよりどころ”になっていくんじゃないかと考えています。「子どもは基本的に好きなことで成長する特性があります!」。これは大人でも同じだと感じているのですが、人間は好きなことに「夢中」になることで、“様々な角度から試行錯誤したり、発見したり、進化させていく”ということにつながっていくのだと思っています。

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