お子さまの心を育む「褒め方」のポイント
2023/08/07
成長過程の子どもを褒めることは、自尊心の発達やポジティブな行動の促進に関わりとても大切です。褒めることは本当に効果があるの?と思うかもしれませんが、子どもに限らず「褒める」という行為を受けた人は、叱られる人に比べて成績が上がったという実験結果もあります。※1
しかし、実際にどのような点に気をつけて褒め言葉をかければよいのか、毎日接するわが子をどんな場面で褒めたらいいのか、迷ってしまうものです。
今回ご紹介する「褒め方のポイント」を家庭に取り入れて、お子さまがのびのびと自分らしく成長できるよう、接し方の参考にしてみてください。
※1 エンハンシング効果に関する実験を指します。発達心理学者のエリザベス・B・ハーロックが1925年に報告した賞罰実験が有名です
お子さまを褒めることの重要性
成長期真っ只中のお子さまを褒めるメリットは、「挑戦心が育まれる」「自己肯定感があがる」「親子の信頼関係が深まる」の3つが挙げられます。
①挑戦心が育まれる
お子さまを適切な方法で褒めると、物事へ挑戦する意欲が高まります。成功体験を通じて自信をつけ、新しいことへ積極的に取り組むようになります。
たとえば、お子さまが自分で考えた方法で問題を解決したときや努力を重ねて成果をあげたときには、努力した過程を具体的に褒めてあげると効果的です。結果が失敗に終わっても、そこから得られる学びもあるので、チャレンジすることはお子さまの成長の上で不可欠です。
②自己肯定感が上がる
自己肯定感は、自分自身に対する評価や信頼を肯定的なものとしてとらえる考え方のことです。まだ幼い子どもにとって、自分の努力やそれによって成し得たことを、自身の価値として受け入れることは容易ではありません。頑張った成果を大人が褒めることで、お子さま自身がその行動や成果を自分の力で達成した成功事例として認識する手助けになります。その結果、自分に対するポジティブなイメージが強化され、自己肯定感が高まるきっかけになります。
また、自己肯定感が高いと、物事の成功や失敗に関わらず、ありのままの自分を受け入れる心のゆとりがあるため、何事にも積極的に取り組めるようになると言われています。
内閣府の調査によると、自己肯定感が低い子ども数は近年増加傾向にあります。
③親子の信頼関係が深まる
子どもにとって一番身近な存在は、やはり多くの時間を共有する家族ですが、その中でも特に保護者とは、学校の先生や友だちの親御さんとは異なる特別な安心感や信頼関係をもっています。そんな保護者からの肯定的な言葉を受けとることで、自分の親に対する信頼がさらに深まります。子どもと同じ視点で一緒に喜び、成長を共有することで、親子の絆もより強くなります。
また、信頼関係があると、お子さまに困りごとがあったときなど、早めに相談してもらえるようになり安心できます。
褒めるときのポイントは?
お子さまを効果的に褒めるときのポイントは、「その場で」「具体的に」「過程を褒める」の3つです。
些細な出来事でも、お子さまを褒めたいと思えるその場面ですぐに褒めてあげると、子どもは保護者が自分をきちんと見てくれている安心感を得られます。また、褒めるときも「えらいね」や「すごいね」など評価をするだけの言葉で終わらせるのではなく、子どものどんなところが良かったのか具体的に言葉にしてあげましょう。
たとえば、お子さまが食事中に苦手な野菜に挑戦したとき、「今日は苦手なピーマンを頑張って食べたね」と具体的に褒めると、次も苦手な食べ物を食べてみよう、という克服への前向きなモチベーションをつくってあげることができます。
私たちは人を褒めるときに、物事の結果を重視してしまいがちですが、頑張った「過程」にフォーカスして褒めてあげるとお子さまの努力が認められるので、次も頑張るための自信形成につながります。たとえば、宿題の計算問題で間違いがたくさんあったときでも「時間がかかっても、一生懸命自分のちからで解いたからすごいね」と、お子さまの努力のプロセスを褒めてみてください。
お子さまを褒めるときに注意したいことは、周りと比較したり、保護者がお子さまをコントロールするために褒めたり、結果だけを褒める方法です。このような褒め方はできるだけ避けて、3つのポイントを意識して褒めてみましょう。
普段の生活から褒めるチャンスを見つけよう
お子さまを褒めるチャンスを見つけることは、お子さまの自信や自己肯定感を育む上でとても大切です。家で褒める場合と学校・習い事で褒める場合で「褒めチャンス」をみていきます。
家ではこんなときに褒めよう
- お手伝いができた(配膳・片づけ・洗濯物をたたむ)
- 時間を守った(遊ぶ時間・お風呂の時間・寝る時間)
- 家でのルールを守った(宿題をしてから遊ぶ・食事のときはスマホを見ない・歯磨きをしてから寝る)
お子さまが家事や日常のタスクに積極的に参加する姿勢は、家族の一員としての責任感や協力心を育む上で素晴らしいことです。
お手伝いをしてくれた際に、感謝の気持ちを込めて「ありがとう。〇〇ちゃんのおかげで家族みんなが助かったよ。」と褒めてあげます。
時間を守ることは、自己管理能力を養い、スケジュールを守る大切さを学ぶために役立ちます。お子さまが時間を守ったときには、「約束の時間を守ることはとても大切なことだね。信頼される人になれるよ。」と褒めてあげます。
学校・習い事ではこんな時に褒めよう
- 発表した(一生懸命練習した、〇〇ができるようになった、緊張に負けなかった)
- 交友関係(友だちを大切にできた、仲直りできた、年下にやさしくできた)
- 作品を作った(図工や美術で作品を作り上げた、オリジナルのアイデアを出せた、友だちの作品のいいところを見つけられた)
プレゼンテーションや発表を行うことは、コミュニケーション能力や自己表現力を養うのに役立ちます。発表に取り組んだお子さまに対して、「一生懸命頑張って準備したね。自信をもって話す姿がよかったよ。」などと褒めてあげます。
社会性や人間関係を築く力は、将来においてとても重宝します。お子さまがお友だちと良好な人間関係を築いている場合は、「他の人との関係を大切にすることは素晴らしいことだよ。お友だちや周りの人たちと仲よくすることは楽しいね。」と褒めてあげます。
これらの褒める場面を大切にすることで、お子さまの成長と自信を促進できます。褒める際は、具体的に褒めるなどすれば、お子さまのやる気をより引き出す効果があります。
褒めることで、お子さまの可能性を育てよう
今回の記事では、お子さまの褒め方のポイントから具体的な「褒めチャンス」までご紹介しました。
お子さまを褒めるときの3つのポイントは、
- その場で褒める
- 具体的に褒める
- 過程を褒める
でした。また、具体的な褒めチャンスの場面は、先述したように、家・学校・習い事など探せばさまざまな場面で見かけられます。
さらに褒めチャンスを増やしたり、お子さまの可能性を最大限に引き出したりするには、体験活動も大切です。例えば、習い事は継続的に目標に向かって取り組むことができるのでお子さまを褒める絶好のチャンスにもなります。「今日はロボット教室でどんなことがしたの?」という会話をきっかけに、お子さまができるようになったこと、もっと頑張りたいことを聞き出して褒め、次も頑張るためのモチベーションを「褒める」ことで生み出していきましょう。