理系脳とはなに?文系脳との違いや子どもの理系脳を育てる方法を紹介
2025/03/28
最近「理系脳」が話題になっていますが、理系脳は2030年以降も活躍する職業とも大きく関わりがあるといわれています。今回は、子どもが将来、社会に求められるような人材になっていくために、理系脳とはなにか?なぜいま注目されているのか?を紹介します。また子どもを理系脳に育てるための方法についてもまとめていきます。
理系脳って?
従来の定型的な事務作業やルーティーンワークが、AIによって効率化されていくため、人間にしかできない仕事に注目が集まっています。コンピュータが代替できない職業として、子どもを将来、医者やエンジニアなど理系の分野に進ませたい保護者の方も最近増えており、幼児のうちから理系脳を育てるためのおもちゃなども続々と売り出されています。とはいえ理系脳とはどういったことを意味するのでしょうか?
理系脳とは、理系的思考ができることを言います。「問題や課題に直面した時に、自分の力で考え、試行錯誤しながら発展させていく」能力のことで、決して数学やプログラミングに強いなどの能力を指すものではありません。つまり、自分の頭で考えて、ひらめきを得られるような力です。そういった理系的思考を伸ばすために、近年ではSTEAM教育が注目されています。
STEAM教育のSTEAMとは、「Science(サイエンス)」「 Technology(テクロノジー)」「 Engineering(エンジニアリング)」「Art(アート)」「 Mathematics(マセマティックス)」のそれぞれの頭文字を取った、科学・技術・工学・芸術・数学の教育分野を総称した言葉です。子どものうちからこれら5部門の学習を重点的に行い、今後迎える AI 時代やグローバル社会に適応できる、グローバルな人材を育成していこうという方針を「STEAM教育」と呼んでいます。ここで重要なのは、単に「科学技術」や「IT 技術」「プログラミング」に秀でた人材を生み出すための教育なのではなく、理系分野を通して「自分で学び、自分で理解していくこと」ための教育方針ということです。
これからの日本
理系脳を重視するのは、将来の職業選択だけではありません。今後は高校や大学での学習内容にも理系科目、STEAMの分野が注目されています。
2018年文部科学省は、「高等学校普通科において文系・理系に分断されている実態を改め、基本的に文理両方を学習した大学進学者の育成を目指す」ことを提言しました。具体的には、データ・サイエンスの基礎となる確率・統計やプログラミング、理科と社会科の基礎的分野を、高校生の時点で確実に習得させることを目指しています。また、従来よりも高度な、微分方程式や線形代数・ベイズ統計、データマイニングなどの内容を学びたい高校生のため整備をすすめ、文理両方を学ぶ人材を育成することも求められています。
大学では、学部に関わらず、社会のニーズやグローバル社会の国際トレンド等を背景に、今後多くの学生が必要とする STEAM やデザイン思考などの教育が十分に提供できるよう、大学による教育プログラムの見直しを促進しています。具体的に、学生が共通的に学ぶリベラルアーツと、学生が選択する人社系、STEAM分野、保健系等の専門分野が、特定の学部だけでなく、学部を超えて提供される構造へと変えていく狙いです。この構造改革により、STEAM系科目を専攻する AI のトップ人材や専門人材を育成するとともに、文理両方を学ぶことにより必要な AI に関する素養を身につけた人材の育成を目指しています。
つまり、高校や大学でのSTEAM分野の重要性が高まっていく中、子どものうちから理系に親しませることで、高校や大学進学の際に、より有利に進めることができるのではないでしょうか。
理系脳の子どもがもつ特徴
「理系脳」と聞くと算数や理科が得意な子をイメージしがちですが、その本質はもっと深いところにあります。
物事を筋道立てて考える力や、データに基づいて冷静に判断する力こそ、理系脳の真骨頂といえるでしょう。また近年のAIやIT社会においては、こうした論理的な思考力がますます求められています。
ここでは、そんな理系脳の子どもがもつ代表的な特徴を4つご紹介します。
論理的に考えるのが得意
一つひとつ順序立てて物事を整理し、答えを導き出すのが得意なのが理系脳の特徴です。
たとえば遊んでいるときにトラブルが起きても、すぐに感情的にならず「どうしてこうなったのだろう?」「どうすればうまくいくのかな?」と原因を探し、解決策を考えます。
また、普段の生活でも「どうして?」と疑問を持つ姿がよく見られます。たとえば天気予報を見ながら「なぜ今日は雨なの?」「どうして雷は鳴るの?」といった質問を投げかけ、ただ知識を得るだけでなく、その背景まで理解しようとします。
こうした思考力は、大人が説明するよりも自分で「考えてわかる」ことでさらに磨かれていきます。
データや数値をもとに考える
抽象的な言い回しよりも、具体的な数字やデータに興味を示すのも理系脳の子どもによくある傾向です。
たとえば「今日はすごく暑いね」と言われたら「何度くらい?」と具体的な温度を知りたがることがあるでしょう。
また算数や理科の授業では、単に答えを出すだけでなく「なぜその計算になるのか」「どうしてこの結果が出るのか」を数字やデータで説明しようとする姿も見られます。理科の実験でも、感覚や印象ではなく「温度を変えたらどうなるか」「時間を計ると何分かかるのか」と、数値を用いて検証する姿勢が目立ちます。
このように数値をもとにした考え方は、将来データ分析や論理的なプレゼンテーションを行う場面でも大きな武器となります。
問題を見つけて解決するのが好き
「どうしてこうなるの?」「なぜ?」と、身の回りのことに興味をもって原因を突き止めようとする探究心も、理系脳ならではの特徴です。
たとえば壊れたおもちゃを見つけたときに「どこが壊れているのかな?」と自分で分解してみるなど、原因を追求する行動を自然に取ります。
また学校の授業でも「この問題の答えはどうやって導き出すの?」「なぜこの公式が必要なの?」と、単に暗記するだけでなく、背景や仕組みまで納得するまで考えようとする姿勢が見られます。
こうした探究心と問題解決力は、将来エンジニアや科学者、プログラマーといった分野でも強みとなるでしょう。
忍耐強く集中して取り組む
難しい問題や長時間かかる課題に対しても、途中で投げ出さずに取り組める粘り強さも大きな特徴です。
たとえば複雑なパズルや難しい算数の応用問題に対しても、簡単に諦めることなく、何度も挑戦を繰り返します。
失敗したときも「なぜうまくいかなかったのか」「次はどう工夫すればいいのか」と冷静に分析し、改善策を考えられるのは、理系脳の子どもならではです。こうした試行錯誤を通して、自然と集中力や忍耐力が養われていきます。
さらに好きなことには強い集中力を発揮し、まわりが声をかけても気づかないほど夢中になることもあります。このような特性は、専門的な研究や実験を行う職業においても必要とされる重要なスキルです。
文系脳の子どもがもつ特徴
言葉や感情、そして豊かな想像力を通じて世界を捉えるのが文系脳の子どもたちです。物事を直感的に理解し、他者の気持ちを汲み取る力や、自分の考えを表現する力に長けています。
ここでは、そんな文系脳の子どもに見られる4つの特徴について詳しく紹介します。
想像力が豊か
思いついたことを自由に表現する力に優れているのが、文系脳の大きな特徴です。
たとえば、絵本を読んだあとに「続きを考えてみよう」と物語の続きを自分で創作することも珍しくありません。また日常の何気ない風景を絵に描いたり、空想の登場人物をつくって友達とお話を展開したりする場面もよく見られます。
このように目の前の出来事から発想を広げ、自分なりの世界を生み出す力が自然と備わっています。
言葉を深く味わう
言葉に対して特別な感受性を持っているのも、文系脳の子どもたちの魅力のひとつです。
たとえば詩や物語を読んだとき、その表現の奥にある作者の気持ちや背景まで考えようとすることがあります。単なる言葉の羅列としてではなく「どうしてこの言葉を選んだのだろう?」と意味や響きを味わう姿勢が見られるでしょう。
また会話の中でも「それってどういう意味?」と言葉の意図を確かめることがあり、日常的に言葉への関心を深めています。
感情を大切にする
他人の気持ちに敏感で、相手の立場に立って行動できる優しさも文系脳の子どもの大きな特長です。
たとえば友達が悲しんでいると気づくと「どうしたの?」と声をかけたり、困っている人がいればそっと手を差し伸べたりします。このように相手の感情を汲み取り、自分のことのように考えられる共感力を持っているため、友人関係や家族の中でも信頼される存在になることが多いでしょう。
また自分の感情も豊かに表現できるため、周囲とのコミュニケーションもスムーズに進みます。
直観力に優れている
物事の本質や人の気持ちを瞬時に感じ取る直観力も、文系脳ならではの魅力です。
たとえば相手の表情や声のトーンから「今日はちょっと元気がなさそう」といったことをすぐに察知できます。また場の空気や雰囲気を読み取る力も高く、グループで活動するときには無意識のうちに相手の気持ちを考えて行動できます。
こうした直観的な理解力があるからこそ、チームワークや人との関わりにおいてもスムーズなやり取りが可能になるのです。
あなたの子どもはどっち?理系脳と文系脳の見分け方
子どもが理系脳なのか文系脳なのかを知ることは、今後の学び方や習い事を考える上で重要な手がかりになります。とはいえ性格や得意分野がはっきりしない時期もあり、どちらの傾向が強いのか見極めるのは難しいこともあるでしょう。
そこで、日常の行動や考え方からわかる「理系脳」と「文系脳」の見分け方を紹介します。
1つ目の見分け方は腕組みの仕方です。自然に腕を組んだとき、上にくる手によって脳の傾向が分かるとされています。右手が上にくる子どもは左脳が活発に働いていることが多く、論理的思考を得意とする理系脳の可能性があります。反対に左手が上にくる子どもは、右脳が優位で直感や感性を使った考え方をする文系脳の傾向が強いといわれています。
2つ目の見分け方は、好きな文字列の傾向です。たとえば「AAABBBCCC」といった規則的な並びを好む場合は理系脳、「AMOVBIPWC」といった不規則な並びに魅力を感じる場合は文系脳の傾向が考えられます。規則性を見つけることが楽しいと感じる子どもは、数字やパターン、論理的な流れを重視する理系脳の特徴が現れている可能性が高いでしょう。
3つ目の例としては、買い物を題材にした思考実験があります。たとえば「100円玉を3枚持って180円の商品を買った場合、お釣りはいくら?」と聞いてみましょう。このとき「120円」と答える子どもは、100円玉の合計金額から180円を引くという数式で考えているため、理系脳の可能性があります。一方で「20円」と答える子どもは、現実的な買い物の状況をイメージし「200円を出して20円お釣りが返ってくる」という流れで考えた文系脳の特徴といえるでしょう。
このように日常のちょっとした行動や思考のクセから、理系脳・文系脳の傾向を探ることができます。ただし、どちらかに明確に分かれるわけではなく、理系的な一面と文系的な一面の両方を持ち合わせている子どもも多くいます。そのためあくまで参考程度に考え、子どもの得意や興味を尊重した接し方を心がけることが大切です。
子どもの理系脳を育む方法
理系脳は生まれつきの才能だけでなく、日々の関わりや経験を通じて磨かれていくものです。特に幼少期から「考える」「試す」「説明する」といった経験を積み重ねることで、論理的な思考力や問題解決力が自然と育っていきます。
家庭でのちょっとした声かけや遊びの工夫が、子どもの理系的な力を引き出す大きなきっかけになるでしょう。
ここでは、家庭でできる具体的な取り組みを3つ紹介します。
子どもにプレゼン・説明をしてもらう機会を増やす
理系脳の発達には「自分の考えを順序立てて説明する」経験が欠かせません。たとえば学校での出来事や遊びの話を聞くとき「それってどういうこと?」「どうしてそう思ったの?」と問いかけてみましょう。こうした対話を通じて、子どもは自分の考えを整理しながら言葉にする力を少しずつ高めていきます。
また「どうやったら相手にわかりやすく伝えられるか」を意識することで、自然と論理的な説明力も育まれていきます。ただ説明するだけでなく「伝えよう」とする気持ちが、思考を深めるトレーニングになるのです。
さらに子どもの話に対して「それはおもしろい考え方だね」と肯定的に反応することで、安心して自分の考えを発信できるようになります。「間違っても大丈夫」と思える環境があるからこそ、子どもは失敗を恐れずに意見を述べられるようになるでしょう。
こうしてプレゼンや説明の機会を日常的に増やすことで、論理的思考と自己表現の力がバランスよく育ちます。
ディスカッションやディベートを経験させる
理系脳を鍛えるうえで効果的なのが、ディスカッションやディベートといった「考えをまとめて伝える」体験です。たとえば「もし動物園の動物が逃げたらどうする?」といった日常のテーマからでも議論は始められます。
このとき大切なのは「なぜそう思うの?」と理由を聞くこと。そうすることで、子どもは自分の考えに筋道を立てる習慣がつきます。また親の意見と異なる場合でも「その考えもあるね。でも僕はこう考える」といった対話が生まれることで、柔軟な思考力も養われていくでしょう。
さらにディベートの中では、相手の立場に立って考える必要も出てきます。こうしたやり取りを通して、ただ自分の意見を主張するだけでなく、相手を理解しながら対話する姿勢も身についていくのです。
このようにディスカッションやディベートは論理的な考えを深めるだけでなく、相手とのコミュニケーション力や協調性を育てる場にもなります。家庭の中でも日常会話の延長で取り入れることができるため、気軽に始めてみるとよいでしょう。
疑問を発見できる環境を与える
理系脳を伸ばすためには「どうして?」と疑問をもつ体験を日常に取り入れることが大切です。たとえば「雲ってどうして動くの?」「氷はなぜ溶けるの?」といった疑問に対して、すぐに答えを教えるのではなく「一緒に調べてみよう」と提案することで、子どもは自ら考え始めます。
また図鑑や科学の本を家に置いておくと、自然と知識に触れる機会が増えるでしょう。親子で科学実験キットに挑戦するのもおすすめです。水の温度を変えて観察したり、簡単な化学反応を試したりと、遊びながら「なぜ?」を考えるきっかけになります。
さらに、自然の中に出かけて実際に観察することも効果的です。公園で「どうしてこの葉っぱは丸いの?」「虫はどこから出てきたの?」といった会話をするだけでも、子どもの探究心は刺激されます。
親が「いい質問だね!」と子どもの疑問を歓迎する姿勢を見せることで、子どもは安心して「知りたい」「調べたい」と思えるようになります。こうして生まれた小さな疑問を大切にし、答えを探す過程を一緒に楽しむことが、理系的な思考力を育てるうえで何よりのサポートになるでしょう。
子どもの理系脳を鍛えるなら「ヒューマンアカデミージュニア」
「ヒューマンアカデミージュニア」は、全国2,000教室以上を展開する国内シェアNo.1のロボット教室です。ロボット製作やプログラミングを通じて、子どもたちが「自分で考え、自分で成し遂げる力」を育むカリキュラムが用意されています。
純粋な好奇心を大切にしながら、論理的思考力や問題解決力、創造力を楽しく身につけられるのが特長です。少人数制で一人ひとりに寄り添った丁寧な指導が受けられるため、初めての子どもでも安心して参加できます。
子どもの理系脳を効果的に伸ばしたい方は、ぜひヒューマンアカデミージュニアの公式サイトよりお問い合わせください。
まとめ
理系脳を育てることは、子どもの論理的思考力や課題解決力を伸ばすために重要です。日常の遊びや会話を通じて「なぜ?」と考える習慣を身につけることで、楽しみながら自然と理系的な思考が養われます。
さらに子どもの疑問に対して一緒に考えたり調べたりすることで、学ぶ楽しさや探究心も育まれるでしょう。こうした積み重ねが、将来の進学や仕事にもつながる大きな力となります。