子どもがゲームに夢中?そんなときこそプログラミング!
2024/02/19
現役プログラマーとして様々な活動をされている鳥井雪氏による、プログラミング通信をご紹介します。こちらのコラムでは、「実際のプログラマーが毎日どんなことを考えてプログラミングしているか」や「実生活でプログラミング的思考がどのように役立つのか」などを、わかりやすく分解してご紹介いただいています。
★こちらの「こどもプログラミング通信」も合わせてご覧ください!
本記事の筆者:鳥井雪(とりい・ゆき)氏
小学校高学年むけプログラミング入門書『ユウと魔法のプログラミング・ノート』著者。
Railsプログラマーとして活躍し、女性にプログラミングの技術を解放する世界的ムーブメント「RailsGirls」の、日本での普及にも尽力する。その功績を認められ、2013年楽天テクノロジーアワード ルビー賞受賞。
RailsGilrsの創始者の一人である、リンダ・リウカス著のプログラミング教育絵本『ルビィのぼうけん』を翻訳、1カ月経たず3刷2万部のヒットとなり、プログラミング教育必修化にむけての一助となる。
翻訳に『ルビィのぼうけん こんにちはプログラミング』『ルビィのぼうけん コンピューターの国のルビィ』『プログラミングElixir (笹田耕一と共訳)』
子どもがゲームをするようになって変わったこととは?
ゲーム機で遊ぶコンピューターゲームを好きなお子さんは多いと思います。
小学一年生のわたしの子どもも、ゲーム機を与えたらすっかり夢中になりました。お友達との遊びもゲームを通してが半分くらい。他のことにも興味を持ってくれないかな、とちょっと心配になることもありますよね。
でも、子どもの「夢中」は、親の思い通りにはならないもの。興味をもって、夢中になれるものがあるだけラッキーなのかも、と近頃はやや諦めの境地です。
ただ、子どもがゲームをするようになって、変わったことが一つあります。それは、子どもにプログラミングをそろそろやらせてもいいな、と思い始めたことです。
いつから子どもにプログラミングに触れさせるかというのは、職業プログラマーの親であっても悩ましいものです。本人の準備ができていない時期に無理やりやらせて、プログラミングなんてつまんない、と思われたら悲しいので、慎重になります。けれどこんな楽しいことがあるよ、と早く共有したい気持ちや、この先のためにいつかはコンピューター・リテラシーを身につけさせないと、という責任感もあります。
ゲームをするようになって「プログラミングを始めても良い」と思った理由
ゲームに夢中な子どもをみて、そろそろプログラミングを始めてもいいかな、と思ったのにはいくつか理由があります。
- 一つは、ゲーム機やPCの操作に慣れたこと。道具がうまく使えない時期にいろいろやらせると、うまく使えないことがストレスになって、プログラミング以前のところで嫌になってしまうこともあります。ゲームである程度操作に慣れてくれるのはありがたい点です。
- 次に、コンピューターがどういうことをやってくれるものなのか、よく知ってくれたこと。私たちの周りには、家電から交通から、身の回りにコンピューターの仕事は溢れていますが、なかなか意識しづらいものでもあります。ゲーム機はコンピューターの仕事が分かりやすいので、コンピューターができることについて、イメージがはっきり持てるようになります。
- 最後に、これが一番大きいのですが、その夢中になっているゲームが、自分の力でも作れるのだと知ってほしいからです。
ゲームは「自分も作りたい!」を刺激するきっかけになる
わたしもゲームをすることがありますが、純粋にその世界を楽しみながら、頭の片隅でずっと「これってどうやって作ってるのかなー」「この動きを実現するには少なくともアレとコレとソレの問題をクリアしてるはず、すごい!」なんて考えています。
ゲームは、プレイするだけでも楽しいですが、「これを動かすために、どんな工夫があるんだろう、どうやるんだろう」という興味を持つことができたら、さらに別の世界の見方ができるようになります。そのためには、プログラミングに触れて、「コンピューターにこんなことをさせるには、こういうやり方がある」という基本を知っておくことが役に立ちます。
せっかくゲームに夢中なのだったらちょっとでも為になることを、という親のおせっかいがあることは否定できません。でも、それ以上に、こんなに夢中になれるものを、自分でも作ることができるかもしれない、と子どもが思えるのなら、それはとてもワクワクすることだと思うのです。