子どもの「アプリ制作プログラミング・コンテスト」の心得とは?
2024/01/20
現役プログラマーとして様々な活動をされている鳥井雪氏による、プログラミング通信をご紹介します。こちらのコラムでは、「実際のプログラマーが毎日どんなことを考えてプログラミングしているか」や「実生活でプログラミング的思考がどのように役立つのか」などを、わかりやすく分解してご紹介いただいています。
★こちらの「こどもプログラミング通信」も合わせてご覧ください!
本記事の筆者:鳥井雪(とりい・ゆき)氏
小学校高学年むけプログラミング入門書『ユウと魔法のプログラミング・ノート』著者。
Railsプログラマーとして活躍し、女性にプログラミングの技術を解放する世界的ムーブメント「RailsGirls」の、日本での普及にも尽力する。その功績を認められ、2013年楽天テクノロジーアワード ルビー賞受賞。
RailsGilrsの創始者の一人である、リンダ・リウカス著のプログラミング教育絵本『ルビィのぼうけん』を翻訳、1カ月経たず3刷2万部のヒットとなり、プログラミング教育必修化にむけての一助となる。
翻訳に『ルビィのぼうけん こんにちはプログラミング』『ルビィのぼうけん コンピューターの国のルビィ』『プログラミングElixir (笹田耕一と共訳)』
子ども向けのプログラミングコンテストで審査員が見ているポイントとは?
小学生や高校生を対象にしたプログラミング・コンテストは今、たくさんありますね。
プログラミングをされている子どもたちや保護者の方も、コンテストの案内を目にする機会があるかもしれません。
わたしも年に1、2回ほど、そういったコンテストの審査員を務めさせてもらうことがあります。
こういったプログラミング・コンテスト―特にアプリを作ってそのアプリの出来栄えを評価するタイプのコンテストの審査員は、どんなところを見ていると思いますか?
もちろん、人それぞれ、コンテストの主旨それぞれです。なので今回は個人的に、「このポイントが押さえられていると評価が高くなっちゃう」ポイントをご紹介します。
それはずばり「独創性」です。
なーんだ、と思われるかもしれません。大抵のコンテストで評価される、聞き飽きたポイントですよね。でも、子どもを対象としたアプリのプログラミング・コンテストで審査員が評価する独創性って、どういうことでしょう。誰にも思いつかない、世界を変えるようなアイディアを期待して、審査員はプログラムを評価するのでしょうか。
そうではありません。審査員が(少なくともわたしが)見るのは、「その子が本当にほしいものを作ろうとしているか」です。自分がこんなゲームで遊びたい、こんなプログラムがあったら自分が嬉しい、自分の問題が解決する。そういう気持ちがプログラムとアプリから感じられると、「いい作品だなぁ」と思います。
プログラミングの「独創性」ってどんなこと?
「自分のやりたいことや解決したい問題」と「独創性」は、どのように関連があるのでしょうか。
プログラミングでアプリを作るというのは、まだこの世にないものを作り出す行為です。
今すでにあるものは、作る必要はないのです。アプリを作ろうと思って、それを完成させるとき、そこには、今あるアプリではまだその子が出会えていない、新しいものが欲しい、という気持ちがあるはずです。
それはささいな違いでもいいのです。「このゲームが好きだけど、もっとこのタイミングが早ければ気持ちいいのに」「このアプリは便利だけど、わたしが使うときは一緒にこのことをメモしたい」そんな動機が、作り出すアプリを生き生きと輝かせます。
ですから、アプリ作りで独創性が輝くためには、自分のやりたいこと、自分の「これが欲しい、これが嫌だからこう変えたい」について、アプリを作る本人がよく知っていることが大切になります。
そういった希望や不満は、「わがまま」と言われて、我慢するのがいいことだとされやすいですよね。
でも、我慢するのではなく、自分でその「わがまま」を形にできるのがプログラミングの力なのです。自分の困りごとや不満、希望を「わがまま」として切り捨てたり我慢したりせず、大切にして、それがどうすれば良くなるものよく考える。そしてねばりづよくプログラミングと向き合って、皆が使える形にする。そのアプリが、他の人を楽しませたり、別の誰かの同じような困りごとを助けたりする。それがプログラミングをする、できる、ということの一つの大きな可能性です。
今日の話をまとめると、アプリ制作プログラミング・コンテストのポイントはつまり、「自分のわがままを大切にする」になるかもしれませんね。
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