プログラムを憎んで人を憎まず?
2023/12/18
現役プログラマーとして様々な活動をされている鳥井雪氏による、プログラミング通信をご紹介します。こちらのコラムでは、「実際のプログラマーが毎日どんなことを考えてプログラミングしているか」や「実生活でプログラミング的思考がどのように役立つのか」などを、わかりやすく分解してご紹介いただいています。
★こちらの「こどもプログラミング通信」も合わせてご覧ください!
本記事の筆者:鳥井雪(とりい・ゆき)氏
小学校高学年むけプログラミング入門書『ユウと魔法のプログラミング・ノート』著者。
Railsプログラマーとして活躍し、女性にプログラミングの技術を解放する世界的ムーブメント「RailsGirls」の、日本での普及にも尽力する。その功績を認められ、2013年楽天テクノロジーアワード ルビー賞受賞。
RailsGilrsの創始者の一人である、リンダ・リウカス著のプログラミング教育絵本『ルビィのぼうけん』を翻訳、1カ月経たず3刷2万部のヒットとなり、プログラミング教育必修化にむけての一助となる。
翻訳に『ルビィのぼうけん こんにちはプログラミング』『ルビィのぼうけん コンピューターの国のルビィ』『プログラミングElixir (笹田耕一と共訳)』
“コードレビュー“はプログラミングが上手くなる方法のひとつ
プログラミングがうまくなるコツの一つ、それは「プログラムを憎んで人(自分)を憎まず」の精神です。
どういうこと? と思われるかもしれません。
でもこの精神、プログラミング以外でも、大人でも子どもでも役に立つ大事なマインドなのです。
プログラミングがうまくなるには、いくつも方法があります。
先達の優れたプログラムを読むこと、コンピューターやアルゴリズムへの理解を深めること、とにかく色んなものを作ってみて、経験を増やすこと。
そのような方法とあわせて、ぐっとプログラミングを上達させる方法の一つに、「自分が書いたプログラム(コード)にレビューを受ける」というのがあります。
これを“コードレビュー“といいます。
コードレビュー、聞いたことがありますか?
職業プログラマーの間ではわりとよくやるものですが、それ以外にはなじみのない言葉かもしれません。
まずコードレビューでは、自分がプログラムを書きます。プログラムを動かしてみて、問題がないように見えます。完璧です。
そうしたら、次に、他のプログラマーにコードを見てもらうのです。そしてプログラムに対して意見をもらいます。
そうすると、あら不思議。出てくる出てくる、完璧のはずのプログラムの悪いところ……。
指摘はのびしろの宝庫
レビューの指摘は、「うまく動いていないよ」だけではありません。
「動いているけど書き方が悪い」「もっと効率のいいデータ処理ができる」「名前の付け方がわかりにくい」など、さまざまな視点からコメントが出されます。
あんまりたくさんコメントがつくと、だんだん気持ちが落ち込んでくることがあります。
「こんなにダメなプログラムを書くなんて、わたしはダメなやつだ……」
そこで大事なのが、「プログラムを憎んで人(自分)を憎まず」の精神なのです。
落ち込んでいてもプログラムは良くなりません。それどころか、せっかく「もっとプログラムを良くする方法」をレビューする人が教えてくれているのに、うまく受け止めきれないことだってありえます。それではもったいない。
プログラムに改善するべきところがあれば改善する。指摘された改善点を学んで、次に生かす。
そこに「わたしはダメなやつだ…」なんて気持ちは要らないどころか、邪魔になるばかりです。ぽいっと投げてさよならしてしまいましょう。そして、指摘を糧に、自分のプログラミングの腕を磨けばいいのです。
この、プログラムへのダメ出しを自分へのダメ出しと切り離すワザを身につけると、生活の他のところでもずいぶん楽になります。
試験の点が悪かった時、ご近所のやりとりで失敗してしまったとき、仕事でうっかりミスをしてしまったとき。「自分はなんてダメなんだ…」なんて人を憎むのはほどほどに、「せっかく悪いところが分かったんだから改善しよう」と思えたら、いい感じではありませんか?
もしもお子さま(あるいは自分や配偶者)が落ち込んでいたり、できないと嘆いていたら、この精神を家族で取り入れてみてはいかがでしょうか。きっといろんな場面で、役に立つこと間違いなしです。
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