【こどもプログラミング通信】現役プログラマーによるプログラミング解説コラム|こども教育総合研究所
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【こどもプログラミング通信】現役プログラマーによるプログラミング解説コラム

2021/01/20


現役プログラマーとして様々な活動をされている鳥井雪氏による、プログラミング通信をご紹介します。こちらのコラムは、「実際のプログラマーが毎日どんなことを考えてプログラミングしているか」や「実生活でプログラミング的思考がどのように役立つのか」などを、わかりやすく解説いただいています。

★こちらの「こどもプログラミング通信」も合わせてご覧ください。

本記事の筆者:鳥井雪(とりい・ゆき)氏

Railsプログラマーとして活躍し、女性にプログラミングの技術を解放する世界的ムーブメント「RailsGirls」の、日本での普及にも尽力する。その功績を認められ、2013年楽天テクノロジーアワード ルビー賞受賞。
RailsGilrsの創始者の一人である、リンダ・リウカス著のプログラミング教育絵本『ルビィのぼうけん』を翻訳、1カ月経たず3刷2万部のヒットとなり、プログラミング教育必修化にむけての一助となる。
翻訳に『ルビィのぼうけん こんにちはプログラミング』『ルビィのぼうけん コンピューターの国のルビィ』『プログラミングElixir (笹田耕一と共訳)』


こんにちは。鳥井雪です。「ヒューマンアカデミーこどもプログラミング教室」の教材監修をしています。

このコラムでは、プログラマーが日常でどんなことを考えて生活や仕事をしているのか、などを紹介していますので、プログラミングを少しでも身近に感じていただければ嬉しいです。

プログラマーは大きく二種類に分けられる?

最近、もうすぐ4歳になる子どもの自転車の練習に付き合っています。ストライダーでかなり慣れていたので、補助輪なしでの挑戦です。まだ大きな転倒をしていないこともあって、泣き言もいわず練習を重ねる日々。「絶対乗れる」という確信と、少しずつ一人で走れる距離が伸びていく、喜びに満ちている子どもは眩しいほどです(付き合っているわたしと夫は中腰続きで腰を痛めていますが…)。

さて、みなさんは新しいことに挑戦するとき、どのような姿勢で取り組みますか?
お子さまがいらっしゃる場合は、どのような様子が見られるでしょうか?

プログラミングの仕事をしていると、新しいことを常に学び続けなければなりません。
今ある技術がどこまでも広がりを持っているだけでなく、コンピューターの世界は、常に新しい技術が開発され、世に出てくるからです。

古い技術をいつまでも使い続けるわけにはいかないのかな? と感じるかたもいらっしゃるかもしれません。
けれど今の社会が、コンピューターとプログラムに求めることはどんどん増えており、多様になっています。コンピューターはそれに応えようと、様々な形に能力を伸ばし、広げています。そのコンピューターを動かすプログラムもまた、様々に新しいことを実現するために、新しい形を探しつづけているのです。

というわけで、プログラマーはずーっと勉強をし続ける職業です(たいていの職業がそうかと思いますが、プログラマーは移り変わりが激しい点では中々だと思います)。

なので、プログラマーには「新しいことの吸収の仕方」に一家言ある人が多く、話を聞いているとなかなか楽しいものです。そして、大まかにいって二種類のタイプがあるな、と感じています。

それは

  • 頭で仕組みを理解してから先に進みたいタイプ
  • 体当たりでとりあえずやってみて、試行錯誤で理屈を掴んでいくタイプ

です。

もちろんどちらがいいという話ではありませんし、どの人もこの二つのタイプの間のどこかにいて、どちらの傾向も備えているものです。ただ、その混ざり具合の割合はけっこう分かれるな、という印象です。

実は、あまりプログラミング経験のない人にプログラミングのアドバイスをするときにも「この人はどちらのタイプかな?」と気をつけてみています。

というのも、本人が理解しやすい順序に沿って話や実践をする方が、ぐっと理解を得られやすいからです。

それぞれの傾向と、それに合った実践方法を、経験から簡単に紹介していきますね。

頭で仕組みを理解してから先に進みたいタイプ

こちらは「まずやってみて」と言われると、「うっ」と立ち止まってしまうタイプです。

この傾向が強いタイプの人は、一つコマンド(注1)を叩いてコンピューターに仕事をさせる時、そのコマンドはどういう意味で(たとえば「cd」というコマンドは「change directory」の略)、どういう動作をして、なんならまず「ディレクトリ」という概念がどういうものか、というのを理解してから、そのコマンドを打って実行したいのです。

(注1)コンピュータに特定の機能の実行を指示する命令。

こちらの傾向が強い場合、新しいことをガイドするには、まず「考え方」を紹介するように努めます。プログラミング言語なら、どんな思想に基づいていて、なにを目的としていて、その人の知っているプログラミング言語とどう違うのか。

短くてもいいのでそういう導入を入れてから「こう書くと、こうなる」という実例を示すと、すんなり入ってくれることが多いです。

このタイプは気がつくといつまでも「考え方」を学習してしまうので、ある程度話したら実際にやってもらって、試行錯誤のフェーズに入ってもらうのもポイント。考えただけではうまく動かないことを実感してもらうことが大切です。

事例が専門的になってしまいましたが、たとえば自転車の練習で言うなら、
「自転車はハンドルの向きに進むから、まっすぐハンドルを前に向けたままにしてね。下を向いてるとバランスがわからなくなるから、行き先に視線を上げつづけるといいよ。自転車は勢いがなくなるとよろけちゃうから、ずっとペダルを漕ぎ続けること。―じゃあやってみよう!」という感じでしょうか。

体当たりでとりあえずやってみて、試⾏錯誤で理屈を掴んでいくタイプ

こちらは先ほどのタイプと真逆なので、先に「理論」を語られると気持ちが離れてしまいます。

まずコンピューターにコマンドを打ち込んでみて、動くことを確かめ、ちょっとやり方を変えてみて異なるように動くことを(あるいは動かないことを)確かめ、そうやって「このコマンドがどういう意味か」を納得していくのです。

こちらの傾向が強い場合、新しいことをガイドするには、まず「実践」です。自分で考えて書いてもらって、思うように動かなかったり、動いても「なんだか不安定だ…」というような立ち止まった場所で、必要な考え方を補助すると「なるほど!」となってくれることが多いです。

最初に理論や思想の話をしても、あまり響かないところもあります。結局つまづいたところでもう一度同じ話をすることになるので、イントロダクションはできるだけ手短にします。ただ、「あれをやって、これをやって」と行動だけ指示しても、それをなぞるだけになるので、自分で考えられるところは自分で考えてやってもらうのが良いと思います。立ち止まった段階で、必要な考え方をきちんと説明するようにします。

では、同じように自転車の練習に置き換えてみましょう。
「それじゃあ、後ろ持ってるから漕いでみて。ほらぐらついてる前見て、行きたい方見て、そしたらぐらつかないから! ハンドルまっすぐ、曲がってるよ、曲がった方に曲がっちゃうでしょ? まっすぐ! 足止めないで、ペダル踏み続けて、勢いがあれば倒れない、そう!!―じゃああとは自分でやってみよう!」


繰り返しますが、どちらのタイプが優れているとか、習得が早いということはありません。山に登るルートが違うな、という感じです。それぞれに合う道筋の方が、気持ちよく歩けるのは間違いありません。

新しいことを習得するとき、あなたやお子さま、もしくは部下などが「どちらの傾向が強いか」をすこし意識してみると、見晴らしのいい景色を見ながら山道を歩けるかもしれませんね。

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