中学校でプログラミング教育必修化!小学校との違いや授業例を紹介【前編】
2020/11/23
2020年は、新しい学習指導要領の下、小学校のプログラミング教育が本格的に始まり話題になりました。しかし、プログラミング教育は小学校だけで完結するわけではなく、中学校、高校に進学しても続くことをご存知でしょうか?2021年度に中学2年生または中学3年生になる生徒は、新しい学習指導要領によりプログラミング教育を受けることになります。また、すでに一部の中学校では先行してプログラミング教育が始まっています。
今回は、中学校で行うプログラミング教育のねらいや、小学校のプログラミング教育との違い、そしてプログラミングの授業イメージを紹介していきます。
中学校のプログラミング教育はどの教科でするの?
小学校のプログラミング教育が算数や国語など複数の教科で行われているのに対し、中学校のプログラミング教育は、技術・家庭科の技術分野で中心に行われます。技術の授業で学ぶ内容は大きく分けて4つありますが、そのうち、(D)の「情報の技術」でプログラミング教育が行われます。
(A)材料と加工の技術
(B)生物育成の技術
(C)エネルギー変換の技術
(D)情報の技術
(注1) 参照元は本文末尾に記載
実は、(D)の「情報の技術」には、プログラミングを扱う学習が元々含まれており、ソフトウェアやプログラミングの基本的な操作を学ぶなど、技術に重点を置いた授業が行われています。そして2021年からは、受動的な学習だけでなく、より理解を深めて活用できるように拡充させたプログラミング教育が行われるようです。
中学校のプログラミング教育の目的は?
中学校で始まるプログラミング教育も、小学校でのプログラミング教育と同様に、早いうちから論理的思考力を磨き、「プログラミング的思考」を伸ばすことがねらいの1つです。「子どもにプログラミングを教えるのは早すぎる」という声もありますが、コンピューターを用いた仕組みやサービスが当たり前となり、IT人材への注目が高いことを踏まえると、今後のIT社会の発展を担う子どもたちには、早期からコンピューターや情報通信技術に親しんでおくことが必要なのです。
プログラミング教育の内容は?
中学校で学習するプログラミング教育には、身近な生活の中で活用されている情報技術の理解と、プログラミングの技術の理解の2つがあります。この2つを学びながらプログラミング的思考を身につけていきます。
まずは、学習指導要領の変更点を踏まえながら、中学校で行われるプログラミング教育について見ていきましょう。技術の学習内容の1つ、「情報の技術」は、3つの学習方針に分かれ、授業を通してプログラミングの仕組みや社会とIT技術との関わりについて学習します。
(1)生活や社会を支える情報の技術
(2)ネットワークを利用した双方性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決
(3)計測・制御のプログラミングによる問題の解決
中学校のプログラミング教育で特に注目されているのが、旧学習指導要領から変更された(2)の「ネットワークを利用した双方性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」です。
ここでいう「双方向性」とは、利用者のはたらきかけで反応する機能のことを指し、例えば、目的地を入力すると、アプリが該当する場所や道順、関連情報などを表示する「地図アプリ」などが双方向性をもった機能としてあげられます。つまり、(2)では、生徒が設定した課題を解決する手段の一つとして、入力や操作に対して想定する結果を示してくれる仕組みを活用することを意味します。
小学校のプログラミング教育との違いは?
中学校のプログラミング教育において、課題解決の糸口を探っていく点は小学校のプログラミング教育と似ています。しかし、中学校のプログラミング教育では、情報通信の仕組みを理解した上で活用しながら、設定した課題を解決することが求められています。
この学習目標を達成するために生徒は、
・問題とその原因を明確にすること
・自分なりに解決の糸口を導き出すこと
・情報技術の仕組みを理解した上でプログラミングを使うこと
など、たくさんの能力が求められます。もちろん、問題提起から解決策の提示までの一連の流れを中学生が全て完璧に行うことは容易ではありません。そのため、プログラミングを通して問題解決に取り組む姿勢を養うために、授業自体を工夫する学校が増えてきています。
11月30日公開の「中学校でプログラミング教育必修化!小学校との違いや授業例を紹介【後編】」では、プログラミング教育を取り入れた授業例をご紹介します。お楽しみに!
(注1)参考:文部科学省【技術・家庭編】中学校学習指導要領(平成29年告示)解説
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