ベトナムの習い事事情に見る「幼児教育への高まり」
2020/02/18
ベトナムの海外特派員からお便りが届きました。日本にいるとあまり知る機会の少ないベトナムでの習い事事情ですが、実は教育に力をいれている家庭が多くなっているそうです。ここではグローバルな視点から、幼児教育のヒントを探ってみましょう。
海外特派員からのお便りーベトナム編ー
シンチャオ!(xin chao、こんにちは)
今回は、ベトナムの都会に住む一般的なご家庭の未就学児童たちがどんな教育を受けているのか、その習い事についてお伝えしたいと思います。
ベトナムの人口は、国全体で約9620万人(注1)、平均年齢はなんと31歳ととても若く活気がある国です。また、共働きの割合が非常に高く、子どもたちは親と同居するか、祖父母に預けられるケースが一般的です。今の若い親世代は、ベトナムの経済成長の真っ只中で育っているため、なかなか子ども一緒に過ごす時間が持てないほど熱心に働いています。
こうした背景のなかで、日本と同様に少子化が進んでおり、一人ひとりの子どもの教育の質にこだわりを持つようにもなってきています。
(注1) 中央国勢調査指導委員会が発表した2019年4月時点の国勢調査を参照
では、ベトナムで定番の習い事と、少し変わった習い事についてそれぞれ紹介していきます。
定番の習い事
ベトナムでも、子どもの英語教育にはとにかく熱心です。その背景には、外国語を話せるようになることで外資系企業に就職し、高収入を得られるようになってほしいという思いがあるようです。若者からもよく「成功したい」という話を聞くことが多いのですが、その言葉の背景には「高い給料をもらいたい」や「お金持ちになりたい」という成長意欲が感じられます。また、外資系企業に勤めることでキャリアとしても評価される傾向があるため、英語教育に熱心な家庭が多くなってきています。
都会には多くの就学前の教育機関(プリスクールなど)があり、英語の幼稚園と同様に、英語教育を行う施設は費用が高くとも人気で、定番の習い事となっています。
ほかにも「身体の発育のため」や「学校の勉強に役立つから」という理由で、絵画や水泳、ダンスなどに通わせることも人気です。期間は週に2,3回が多く、習い事にかける費用は、日本円にして平均5,000円から1万円(月)程度が主流となっています。
日本では、2020年度から小学校で「プログラミング教育」が必修化され、AI時代を生きるための教育に向けて動いていて、プログラミング教室などの習い事が台頭し関心が高まっているかと思います。しかしながらベトナムでは、教育省を含めそれらを理解している世帯数はまだまだ少なく、IT関連はこれからという現状です。
一風変わった習い事
続いて、現代の日本では珍しいと思われる習い事もあります。ベトナムの習い事は知識系や運動系が主流ですが、キナン・シントン(Ky Nang Sinh Ton)という体験型の科目も人気があります。キナンは「スキル」、シントンは「生存」を意味し、サバイバルスキルを学ぶ習い事です。
冒頭でご紹介しましたが、ベトナムは共働きが普通であり、保護者は子どもと過ごす時間があまり持てません。子どもにはできるだけ自立心を持って生活してもらいたい、という思いが強く、子どもとの時間が少ないからこそ、習い事などを活用して子どもの成長を伸ばしたいと考える保護者が多いようです。
特にキナン・シントンを習わせる背景には、自分自身が危ない(困った)状況に陥ったとき「自ら生きる工夫をして、安全な場所を確保し、身を守る術を知ってもらいたい」という保護者の想いがあります。
お腹がすいたらご飯を作る。お箸がなければ、木の枝を使う。食べられるキノコと食べられないキノコを判別する。水分を取る。迷子になったら――など、さまざまな問題にあえて対面させ、チームで問題を解決させていくことで、“強く生きる力”を養うといった授業です。
教える内容は年齢と場所によって異なりますが、キナン・シントン教育を導入している幼稚園は意外と多く、参加費も比較的手頃です。
小学生からはキャンプに参加することもできます。自然のなかにある道具を使って火をつけたり、家を建てたり、食料を探したりしながら、サバイバルスキルを身につけます。日本のサマーキャンプやボーイスカウト、ガールスカウトのような感じでしょうか。
特徴的なのは、ベトナムではさらに「生き残ること」を意識した活動を目的としており、まさにサバイバルスキルを学ぶ、という体験に特色があります。
10日前後のキャンプで、費用は3~4万円で参加できるという点も人気の秘密です。学校によってはカリキュラムに含まれているところもありますが、民間で募集しているキャンプに申し込み参加することが一般的です。
このようにベトナムでも子どもの習い事が盛んになってきており、より良い教育を受け、充実した人生を送ってもらいたいと考える保護者が増えています。
子どもたちが早いうちからさまざまな体験を通して、よりよく成長できる環境を大人が整えてあげることは、今やベトナムだけでなく世界共通のイデオロギーとなっているようです。
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