こんにちは。鳥井雪です。
ヒューマンアカデミー こどもプログラミング教室の教材監修をしています。
このコラムでは、現役職業プログラマーとして、実際にプログラマーが毎日どんなことを考えてプログラミングしているかを、わかりやすく紹介していけたらと思っています。…ですが、今日は少し違う話を。子どものインターネットの安全の話です。
COVID-19(新型コロナウィルス)の影響で、お子さんを家でお世話しているご家庭は多いと思います。かくいうわたしも、0歳児と3歳児がいる状況で保育園が閉まってしまい、「あれっ育休から仕事に戻れない」とやや焦っているところです。家で仕事をしたり、家に人がいる時間が増えた分の家事をこなすためには、子どもにつきっきりというわけにはいきませんよね。動画配信サイトや、Scratchで一人で遊んでくれる時間が本当にありがたく思えるのではないでしょうか。よく(本当によく)わかります。
一方で、一抹の不安もあると思います。もし目を離しているすきに、子どもがインターネットで犯罪のターゲットになったら…オンラインチャットでトラブルになって悩みを抱えていたら…。
かといって、子どものインターネットの活動をすべて制限したり、監視するのは現実的ではありません。それに、子どもがインターネットの世界で、自分の力で知識を得たり、自分の望むことを実現する力を奪ってしまうかもしれません。年齢によってある程度のフィルタリングは必要でしょうが、結局は、子どもが自分を守る力をつけるしかないのです。
ですから、子どもが自分の時間をインターネットに使うにあたって、その使い方と注意点を、子どもと話し合ってみることをお勧めします。今回は、その話し合いの中で、どんな点に触れればいいのか、どんな説明をするといいのかについて、簡単にご紹介します。
インターネットで子どもが遭いやすい危険は、主に3つです。
・インターネット上でのやりとりがトラブルになってしまう
・オンラインで支払いのともなう行動をしてしまう
・インターネット上の嘘の情報を信じる/残虐画像など望まないコンテンツを見てしまう
1つずつ、具体的にどんな危険があって、どんな注意が必要か見ていきましょう。
友達とLINE上でやりとりをしているうちに、激しい言葉をつかってしまい、けんかや仲間はずれが起こった。
インターネットで知り合った人に、他の人に見られたくない自分の写真を送ってしまい、「いうことを聞かないとこの写真をばらまくぞ」とおどされた。
住所や電話番号をインターネットに公開してしまった。知らない人がたくさんそれを見て、いたずら電話や、いやがらせの荷物を送ってくる。
顔が見えないやりとりでも、目の前に相手がいるつもりか、それよりもっと気をつけて言葉を選ぶ。
相手がこちらを攻撃している気がしたら、一度スマートフォンやPCの前を離れて、落ち着いて考えてみる。その後で、仲の良いともだちなら、本当にそんなつもりだったか聞いてみる。そうでないなら、相手にしない。
相手がどんなに信頼できるように思えても、他の人に知られたくないことや写真は、決して送らない。
住所や電話番号、名前、学校といった「自分のこと」は、インターネットに知らせない。
困ったことが起こったら、すぐに身近な大人に相談する。
インターネットのやりとりのトラブルに関しては、Scratchコミュニティの「Scratch コミュニティガイドライン」がとてもよくまとまっています。Scratchコミュニティでの約束事ですが、どんなやりとりにも大切なことが書かれています。ぜひ目を通してみてください。
お母さんのスマートフォンを借りてゲームをしていて、ゲームが有利になるアイテムをどんどん買ってしまう(知らずにクレジットカードの支払いをしてしまう)。
PCでサイトを見ていて、「何万円支払わないと訴える」などの表示が出る。
どれが広告や支払いのある行動で、どれが無料のコンテンツなのか、日頃から気をつけてみてみる(何度か、大人が一緒に「これはお金がかかること」「これは無料」とあてっこゲームをするのもいいでしょう)。
いきなり請求をされたら、ただの脅しのこともあるので、本当かどうかを大人に聞く。
困ったことが起こったら、すぐに身近な大人に相談する。
嘘の情報を信じて、怖がる必要のないことを怖がったり、攻撃する必要のない人を敵だと思ってしまう。
子ども向けの楽しい動画だと思ってクリックして、残酷な動画を見てしまい、なんども思い出して気分が悪くなったり、よく眠れなくなったりする。
その情報を「だれが」「いつ」「どんな情報をもとにして」書いたかを、意識する。
動画を見る前に、それについている評価やコメントを確認する。
親の側は、ペアレンタルコントロール(設定)で避けられる事故は避ける。
こんなふうに、危険なことばかり挙げていると、インターネットはとても危険なだけの場所に思えるかもしれません。けれど、インターネットには、狭い世界では見えない様々な意見、たくさんの叡智、励ましや賞賛、助け合いの精神がある世界でもあります。なにより、これから先の世界で、インターネットを避けていきていくことはとても難しいでしょう。正しい知識をもって、子どもたちにはインターネットの力を自分の味方につけてほしいと願っています。
まず、この記事の内容をざっと目を通したら、「どんな危険があるだろう」「どうすれば避けられるだろう」ということを、お子さんと一緒に考えて、意見を交換してみてください。お子さんからも、意外な視点や、すばらしい思いつきが出てくるかもしれません。そうしてできるなら、「自分が何があってもお子さんの味方であること」「困ったらすぐに相談してほしいこと」を繰り返し、言葉にして伝えてください。その信頼関係が、子どものインターネットの安全を守る、一番のセーフティーネットになるはずです。
手前味噌ではありますが、より低年齢むけに、わたしが翻訳を担当した『ルビィのぼうけん インターネットたんけん隊』より、インターネットの安全についての解説記事も書きました。ご参考にどうぞ。
インターネットをつかうみなさんへ(別サイトが開きます)
https://note.com/yotii23/n/n128790e79113
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