社会性とは?子どもが身につける方法や発達する年齢の目安を解説
2025/04/30
子どもの社会性はどう育てればいいのでしょうか?社会性とはそもそもどんなもの?この記事では社会性と社交性との違い、関係する能力、年齢別の発達の目安、そして親ができる具体的なサポート方法をわかりやすく解説し、社会性が低いとどうなるのか、陥りやすいリスクやトラブルの例も紹介します。
社会性とはどんな力?社交性との違いは?
社会性とは社会の一員として他者と協力し、円滑な人間関係を築きながら生きていくために不可欠な能力です。厳格な定義はありませんが、コミュニケーション能力や協調性、道徳、モラルなどの、人と関わるうえで必要な力が社会性の一部として挙げられます。
似たような概念として「社交性」という言葉が使われる場合がありますが、正しくは社会性とは異なるものです。社交性とは、人と積極的にコミュニケーションを取り友好的な関係を築く能力を指します。これは社会性に含まれる能力のひとつといえるでしょう。
社交性が高くなくても、社会性が高い人もいます。例えば積極的に人と交流することが得意でなくても、ルールや規範を守り周囲の人々と協力して物事を進めることができる人は、社会性が高いといえます。
社会性は人が社会で幸福に生きていくうえで、とても大切な能力です。これを身につけることで良好な人間関係を築き、充実した社会生活を送ることにつながります。
社会性が高い子どもの特徴について
社会性が高い子どもは、周囲との調和を保ちながら積極的に関わろうとする能力を持っています。そのスキルが発揮されやすい例を紹介します。
友達との関係を保てる
社会性の高い子どもは「友達とケンカをしない」のではなく、対立してもそれを解決できます。自分の意見だけを主張するのではなく、お互いの意見を尊重しながら「次は別のルールで遊ぼう」といった具体的な解決策を提案して双方が納得できる着地点を見つけようとします。そして相手への配慮を忘れず「さっきはごめんね」「ありがとう」といった感謝や謝罪の言葉を伝えて関係修復に努めることもできるでしょう。このような行動には、協調性や問題解決能力などが含まれます。
新しい環境へ適応しやすい
社会性の高い子どもは、新しい環境にも臆することなく適応できます。例えば新しい習い事を始めた際には、自分から先生や他の生徒に積極的に話しかけて周囲との関係を築こうとします。またその場のルールやマナーを覚え、それを守ることでスムーズに環境に溶け込もうとします。困ったことがあれば、遠慮せずに先生や周りの人に質問し、助けを求めることも得意です。さらに新しい友達ができれば、積極的に遊びに誘ったり一緒に行動したりすることで交流を深めていくでしょう。このような行動には積極性や、適応能力などが含まれます。
社会性が身につく年齢の目安
社会性は生まれながらに備わっているものではなく、年齢に応じた発達段階を経て徐々に身についていくものです。個人差はありますが、その目安や社会性を身につけるうえで特に重要なポイントをいくつか紹介します。
・0~1歳
当然ながらこの時点で社会性はなく、養育者(親)との安定した関係を通じて基本的な信頼感を育む段階です。養育者の愛情や世話に応えることで赤ちゃんは安心感を覚え、他者への信頼感を形成する土台をつくっていきます。また人見知りが始まる1歳前後頃では養育者とそれ以外の人を区別できるようになり、自分の周りの人々や環境を意識できるようになっていきます。
・2~3歳
自我が芽生え始め、自己主張が強くなる時期です。一方で友達への関心も出始め一緒に遊ぶことを楽しむようになりますが、まだ協調しての遊びなどは難しく、並んでそれぞれに遊んだり、友達のおもちゃが気になったりという程度の関係ですが、これも周囲との関係を気にし始める第一歩です。この時期は自分の気持ちをうまくコントロールできないことも多くトラブルも起こりがちですが、安全を確保したうえで見守ることも大切です。
・4~5歳
幼稚園・保育園や遊び仲間などとの行動から、社会性の基礎を築く時期です。生活上のルールを守ることの大切さを学び、役割意識や協調性が芽生えてきます。遊びを通して、友達と協力するようになることも重要です。言葉による表現力も豊かになり、自分の気持ちや考えを相手に伝えられるようになっていきます。そして友達との会話や遊びを通して、相手の話に耳を傾ける姿勢も育っていきます。
・小学校低学年以上
学校生活を通して、より広く深い社会性を身につけていきます。友達関係がこれまでより複雑になり、特別仲の良い友達や同級生以外の人間関係も広がり始めます。クラスでの係やグループ行動などからルールや規範意識がより明確になり、社会の一員としての自覚が芽生えます。
社会性がないとどうなる?陥りやすいトラブルとは
社会性が十分に身についていないと、人間関係に不和を起こすだけでなく、日常生活のさまざまな場面でトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
職場での業務遅延
子どものうちに社会性を身につけていないと、将来、社会に出たときに困る場面が出てくる可能性があります。
例えば、職場において社会性の欠如は円滑なコミュニケーションを阻害し、業務の遂行に支障をきたすおそれがあります。同僚やグループ内での連携不足は情報の共有を滞らせ、チーム全体の生産性を低下させる要因です。また自身の意見や感情を適切に表現できないことで誤解や不信感を生み、孤立を招くことも考えられます。その結果として仕事へのモチベーションを失うと、さらにコミュニケーションを避けるようになり悪循環に陥ってしまいます。
人間関係の悪化
友人関係や家庭内においても、社会性の欠如は大きな問題です。コミュニケーションの不足や誤解を生むような言動をすると、ハラスメントの加害者にも被害者にもなり得ます。共感性・協調性に欠けた言動は、他人との間に感情的な距離を生み出します。さらに規範意識やモラルに問題があれば、周囲からの信頼を損ない、次第に人が離れていく原因となります。とくに金銭問題のようなデリケートな状況において、ルーズな態度は関係性を決定的に悪化させるおそれがあります。
社会生活上のリスク
社会性の欠如が、生活上のトラブルを引き起こす可能性もあります。コミュニケーション能力の不足で人の言葉を鵜呑みにすると、詐欺や悪質な勧誘の被害に遭いかねません。また内容を十分に確認できないまま安易に契約を結び、後々大きなトラブルに発展する可能性もあります。さらに規範意識の欠如から、大きな問題を引き起こしてしまうことも考えられます。例えば感情のコントロールができずSNSで誹謗中傷を繰り返したり、軽い気持ちで違法なダウンロードをしたりして訴訟に発展してしまう可能性もあります。
社会性を身につけるためにできること【年齢別】

子どもは年齢によって発達段階が異なるため、それぞれの時期に合わせた適切な関わり方で社会性を学びます。ここでは各年齢に応じた効果的な関わり方を紹介します。
・0~1歳
この時期は、養育者との間に安定した信頼関係を築くことが最も重要です。抱っこや授乳、笑顔での語りかけなど、五感を使った触れ合いを大切にすることで安心感を与えましょう。安心感は他者への信頼感を形成する土台となります。
・2~3歳
遊びを通して他者との関わりを促すことができる年齢です。公園や児童館などで他の子どもと遊ぶ機会を設け、ままごとやごっこ遊びなどを通して役割意識や協調性を育みましょう。この時期はまだ自分の思いに気づいていない子どもも多いため、気持ちに寄り添い「うれしいね」「悲しいね」など、感情を表す言葉を教えることも大切です。また順番を守ることや貸し借りなど、基本的なルールを教えましょう。
・4歳以上
集団活動への参加から社会性を育む時期です。幼稚園や保育園、習い事などの活動を通して、友達との協力やルールを守ることの大切さを教えましょう。コミュニケーション能力を高めるために、相手の話をよく聞き自分の気持ちを伝える練習をし、絵本や物語を通して登場人物の気持ちを考える機会をつくるのも効果的です。小さなことでもできたことを褒め、成功体験を積ませることで自信を育みましょう。これらの積み重ねによって、自分や他人を尊重する心が育まれ、社会性が養われていきます。
まとめ
社会性は、子どもたちが生涯にわたって豊かな人生を送るための土台となる重要な能力です。社会性に関する能力を育てるには発達段階に合った働きかけが重要で、親や周囲の大人は子どもの気持ちに寄り添い、成功体験を積み重ねることが大切です。社会性を育むことで子どもは他者と良好な関係を築き、多様な価値観に触れながら社会の一員としての役割を果たすことができます。焦らず温かく見守りながら、子どもたちの成長を応援しましょう。